暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
道化と知りつつ踊るモノ
[12/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
問題無し。袁家よりの指示、戦に勝った上で狂犬二人を始末せよ』

 抗おうとも抗おうとも、もはや彼女達には……救いなど一つとして無かった。














 回顧録〜ヒカリガアタラヌクロノナカ〜


 深く関わることはしなかった。

 彼女が生きるためには自分は邪魔だった。

 冷たい関係がずっと続く。

 今まであんなに笑って過ごしたのに。

 今回は笑い合ったことなど全く無かった。

 自分が救われたいとは思わなかった。

 自分が死ぬことで

 きっとこの世界は変わると信じていたから。

 一つだけ、噂を流した。

 袁家には乱世を終わらせる救世主がいる、と。

 曖昧にぼかした情報は波紋を作り、内部での諍いを増やすことになった。

 これでいい

 これでいい

 こうすれば彼女は救われる。

 この世界はきっと歪な等価交換で成り立っている。

 誰かが死ねば、誰かが生きれる。

 生き残るはずのない彼女たちが死ねば、彼女と自分は生き残れたのだから。

 より確実にするにはもう一つ賭ければいい。

 彼女の運命は決まっていたのだ。

 死ぬしかない運命。抗えぬ宿命。捻じ曲がっているこの世界は、元から狂っていたのだ。



 漸く呪われた戦に辿り着いた。

 この官途の戦いの最中で自分が死ねば、代わりに彼女は救われるのだろう。

 誰も彼もを犠牲にして、彼女だけを救ってみせよう。



 戦いの最中で情報が一つ。

 有り得ない名前が耳に飛び込んだ。

 居るはずのない存在が敵に居た。

 まだ出てくるわけがなかったのに

 前のループではいなかったのに

 その名前は、自分にとって絶望だった。



 気付いた時には手遅れだった。

 袁家の計画は進んでしまい、止めることなど出来なかった。


 敵だ、敵だ、敵だ、敵だ、敵がいた

 世界改変の敵が、まだ居た。


 彼女を救い出せると勘違いしていた自分はもう、この世界に救いなどないのだと分かってしまった。

 自分を殺す方法を世界は正しく強いてきた。

 抗えるわけがなかったのだ。

 周りは全て敵だらけ

 救い出した先にも敵がいる。

 この乱世が、自分が過ごしたループよりも長く続く予定調和になったのなら……

 あの敵がいるだけで魏は滅ぶ可能性が出てしまった。


 もう……無理だ


 こんな世界、変えられるわけがない。


 呪われし戦、官途の戦い

 計画通りにコトが全て終わった。

 彼女の命は、確かに今だけは救えた。

 そして自分は―
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ