第二話 運命の邂逅
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けど」
はやて「ここ?海鳴市や」
賢「海鳴市?そんな所聞いたこともないよ。ここは田町じゃないのかな?」
はやて「へ?田町?何やそれ?」
海鳴市のことを知らないという賢の言葉に首を傾げる。
賢「え?」
はやて「どういうことやの?というよりどうして此処に倒れてたんや?」
賢「えっと、僕はここに来る前に田町にいたんだ。でも足元に魔法陣のようなものが現れて…その後のことは多分君が見た通りだと思う。」
はやて「ふ〜ん。世の中不思議なこともあるもんやなあ。」
はやては不思議そうな顔をしながら頷いた。
賢「うん。僕もそう思うよ。まさかこうなるなんて思わなかったよ…」
苦笑しながらはやての言うことに同意する賢。
はやて「ところでこれからどないするんや?行くとこあるんか?」
賢「あ…そういえば無いね……」
賢は困ったように言う。
はやては笑顔を浮かべながら口を開いた。
はやて「行く所が無いならうちに住まへん?」
賢「え?」
はやて「私、物心着く前に両親が死んで独りぼっちなんよ…」
はやてが寂しそうに笑いながら呟いた。
賢「(独りぼっち…)」
賢は彼女の気持ちが良く分かる。
今は家族と和解しているがそれまでの自分はいつも家では孤独だった。
賢「それじゃあ…お世話になるよ…よろしくね」
はやて「ほんまに!?やったあ!!えっと…今何歳?」
賢「僕は11歳だよ。」
はやて「それじゃあ私より年上なんやな…えっと賢さん…」
はやては恥ずかしそうに俯きながら口を開いたり閉じたりを繰り返す。
賢「何かな?」
賢は優しくはやてに先を言うよう促す。
はやて「これから賢さんの事、賢兄って呼んでいいですか?」
賢は一瞬彼女の言葉に驚いたが、すぐに微笑んで頷いた。
賢「勿論だよ。僕も君のような妹が出来て嬉しい。よろしくはやて。」
賢は、はやての頭にポンと手を置くと優しく撫でた。
その手の暖かさにはやては泣きそうになるが、花のような笑顔を浮かべた。
はやて「ありがと!!私、お兄ちゃん欲しかったんや!!賢兄、お腹空いてへん?」
賢「ん?ああ、そういえば…」
はやてに聞かれたと同時に腹の虫が鳴る。
はやて「ほな、今夜は腕によりをかけて作るで!!賢兄、早う!!」
はやては車椅子を素早く動かし、凄まじいスピードでキッチンに向かった。
賢は苦笑すると、家の中に入る。
こうして賢とはやての出会いが果たされた。
彼らの物語が幕を開ける。
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