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寄生捕喰者とツインテール
忍び寄るは何者か
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トニーから情報を引き出しているテイルブルーの事は殆ど取り上げられていない。

 少女はソレに納得がいかないようだ……まあ当たり前だろう、声を上げているのはほかならぬテイルブルー、津辺愛香なのだから。



「蛮族だ暴力的だって言われるから知的な所も見せたのに!! なんでグラトニーなのよ!? しかもどの局もテイルレッドやグラトニーのニュースばっかり!!」
「ま、まぁまぁ落ち着けって愛香」



 彼女の言っている事もあながち間違いでは無く、テイルブルーが映っている局でも比率はテイルレッド・6:グラトニー・3:テイルブルー・1……といった具合で、他殆どのニュースがテイルレッド・8:グラトニー・2……なのだ。


 しかも、テイルレッドは御馴染の情けない姿ばかりだから人気に拍車がかかるのは分かるとして、グラトニーは猛獣の如き眼光を宿している場面に、エレメリアンを喰いちぎる場面、果ては必殺技を放ち残酷に吹き飛ばしたシーンもあったのだ。

 なのに普通に人気とは言えずともそれなりに支持者は付いているし、生きる為に食べているのだろうという考察や、彼女の眼に宿る意思、エレメリアンという単語が浸透した事もあって、生物ならばいた仕方ないのかもしれない、という認識まで出回り始めている。


 対してブルーは、何時もの様なの乱暴者扱い、偶に挙げられても刺身のつま扱い、碌な事が無い。寧ろ、グラトニーが時折見せた犬のような仕草の引き立て役になってしまっている。



「悲しげな目って何なのよ!? どうせグラトニー好きな奴があの中に居て、デマ流しただけでしょ!!」
「え? 愛香は感じなかったのか? あの子のツインテール、本能と悲哀が混ざってたんだぞ?」
「……はい?」



 大分おかしな単語が混ざったが、常識的に好意的に取るなら、総二もグラトニーの雰囲気は察していたらしい。
 珍妙さに一瞬フリーズはしたが、何を言いたいか分かった愛香は、それでも納得いかないか唸り続ける。



「唸っても状況は変わりませんよ愛香さん? それにコメンテーターさんの言っている事は正しいです。同じ獣でもグラトニーちゃんは生きる為に己を鬼と化する本物のダークヒーロー。愛香さんはダークヒーローを気取ったビッチなケダモノですからねぇ? あと胸部が大ぶ違―――」
「ウノ! ドス! トレェェェス!!」
「クリティカルヒットオォォオオオォォオォオっ!?」



 拳、蹴り、頭突き。眼にもとまらぬ三コンボで今し方愛香を鼻で嗤ったトゥアールは、縦に横にもう回転して地面を転がりバウンドする。

 と、総二が今のトゥアールの発言で気になった部分があるのか、起き上がるのを待ってから話しかけた。



「トゥアール、ちょっといいか?」

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