第六章
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第六章
「あの人学生時代は登山部だったわ」
「そこでも山だったのね」
「ええ。また山ね」
朋絵の言葉に応える形になっていた。
「それじゃあやっぱり」
「山の民の血を引いてるわね」
そのことを確信した朋絵だった。
「あんたの旦那さん。間違いないわね」
「まさかそんな人だったなんて」
「驚いた?」
「驚いたっていうか」
首を捻りつつ朋絵に対して述べるのだった。
「まさかね。信じられないわよ」
「旦那さんがそうだったってこと?」
「うちの人はうちの人よ」
だが不意にこうしたことも言うのだった。
「それは変わらないわ」
「それでも好きだってことね」
「あの人が宇宙人でも変わらないわ」
このことははっきりと言う亮子だった。
「うちの人はうちの人。私の旦那様よ」
「妬けるわね」
「何言ってるのよ、あんただって」
煽りをかけてきた朋絵に対して返す。
「そのネックレスもイヤリングも御主人のプレゼントじゃない」
「これはくれるっていうから貰っただけよ」
これまで攻める方だった朋絵が不意に守りに入ってしまった。
「だからよ。私は別に」
「その割にはいつも身に着けてるわね」
「気のせいよ」
かなり苦しい言い訳であったがそれでも言わずにはいられなかったのだった。
「それはね」
「そうかしら。まあそれでもね」
「旦那さんは旦那さんなのね」
「そういうことよ。うちの人はうちの人」
またこのことを言うのであった。
「山の民だったわね」
「ええ」
「その血を引いていてもね。そもそもよ」
ここで亮子はさらに言葉を出してきた。あくまで引かないといった調子である。
「変わった能力は持っていても普通だったのよね」
「まあ人間なのは確かよ」
そのことは朋絵も否定しない。人間でなければ何だということにもなる。
「ただ住んでる場所や言葉とかが違うだけでね」
「何か今でもそういう話って何処にでもあるわね」
「昔は日本にもあったのよ」
そうした人達がいたということである。
「で、御主人はそのこと知ってるの?」
「さあ」
この辺りは亮子も確信がなかった。
「知ってるかも知れないけれど」
「知らないのかも知れないのね」
「私だって今はじめて聞いたし」
その山の民のことである。
「あんたもはじめて聞いたって感じよね」
「そうよ。というか大学で勉強して」
「ええ」
「まさかここで聞くなんて思わなかったわ」
「そうだったの。やっぱり」
「こうした話ってあるのね」
朋絵は腕を組み考える顔になってその顔を少し下にやって述べた。
「本当に山の民の話を聞くなんて」
「で、私ね」
話をしながらだが亮子はその話を変えてきた。
「考えてるんだけれど」
「どうした
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