第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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うに、ウルキオラの後ろから、黒船を見つめる。
「空賊だ!抵抗するな!」
黒船から、メガホンを持った男が大声で怒鳴った。
「空賊ですって?」
ルイズが驚いた声で言った。
黒船の舷側に弓やフリント・ロック銃を持った男たちが並び、こちらに狙いを定めた。
鉤のついたロープが放たれ、ウルキオラたちの乗った船の舷縁に引っかかる。
手に斧や曲刀などの獲物を持った屈強な男たちが、船の間に張られたロープを伝ってやってくる。
その数およそ数10人。
ウルキオラは何もせずに、突っ立っている。
「ウルキオラ……」
ルイズが呟く。
ウルキオラはその声で、後ろを振り向いた。
すると、後ろにはワルドが現れていた。
「流石はウルキオラ君だ…冷静な判断だな」
「この程度の敵、何ともないが、船が落とされては困るからな」
その言葉にワルドは驚いた。
「この数の敵が何ともない?」
「ああ、ただ、お前にルイズ、グリフォンを連れ脱出するのは厳しいだけだ。それに、お前のグリフォンは暴れているようだしな…」
ウルキオラの言うとおり、前甲板に繋ぎ留められていたワルドのグリフォンは、ギャンギャンと喚き、暴れていた。
しかし、グリフォンの頭が青白い雲で覆われた。
グリフォンは甲板に倒れ、寝息を立て始めた。
「眠りの雲……、確実にメイジがいるようだな」
どすんと、音を立て、甲板に空賊たちが降りたった。
派手な格好の、1人の空賊がいた。
元は白かったらしいが、汗とグリース油で汚れて真っ黒になったシャツの胸をはだけ、そこから赤銅色に日焼けした逞しい胸が覗いている。
ぼさぼさの長い黒髪は、赤い布で乱暴に纏められ、無精ひげが顔中に生えている。
丁寧に左目に眼帯が巻いてあった。
その男が空賊の頭らしい。
「船長はどこでえ」
荒っぽい仕草と言葉遣いで、辺りを見回す。
「わたしだが」
震えながら、それでも精一杯の威厳を保とうと努力しながら、船長が手を上げる。
頭は大股で船長に近づき、顔をぴたぴたと抜いた曲刀で叩いた。
「船の名前と、積荷は?」
「トリステインの『マリー・ガラント』号。積荷は硫黄だ」
空賊たちの間から、ため息が漏れた。
頭の男はにやっと笑うと、船長の帽子を取り上げ、自分がかぶった。
「船ごと全部買った。料金はてめえらの命だ」
船長が屈辱で震える。
それから頭は、甲板に佇むルイズとワルドに気づいた。
「おや、貴族の客まで乗せているのか」
ルイズに近づき、顎を手で持ち上げた。
「こりゃあ別嬪だ。お前、俺の船で皿洗いをやらねえか?」
男たちは下卑た笑い声をあげ
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