第2部 風のアルビオン
第6章 白の国
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それでよい」
「あんたはそうでも、わたしはそういかないね 。あいつらのおかげで 、恥をかいたからね 」
しかし 、マントの男は答えない。耳を澄ますようにして立ち上がると 、フーケに告げた 。
「よし、俺はラ・ヴァリエ ールの娘を追う 」
「わたしはどうすんのよ 」
フ ーケは呆れた声で言った 。
「好きにしろ 。残った連中は煮ようが焼こうが 、お前の勝手だ 。合流は例の酒場で 」
男はひらりとゴ ーレムの肩から飛び降りると 、暗闇に消えた 。
まさに 、闇夜に吹く夜風のように 、柔らかく、それでいてひやっとするような動きであった 。
「ったく、勝手な男だよ 。なに考えてんだか 、ちっとも教えてくれないんだからね 」
フーケは苦々しげに呟いた 。
下で男たちの悲鳴があがる 。
赤々と燃え盛る炎が 、 『女神の杵 』亭の中から吹いてくる烈風で、さらに激しさを増し、暗がりに潜んだ弓兵たちをあぶり始めたのだ 。
フ ーケは下に向かって怒鳴った 。
「ええいもう !頼りにならない連中ね !どいてなさい ! 」
ゴ ーレムがずしん !と地響きを立てて 、入り口に近づく 。
拳を振り上げて 、入り口にそれをたたきつけた 。
酒場の中から 、キュルケとタバサは炎を操り 、外の傭兵たちを散々に苦しめた 。
矢を射かけてきた連中も 、タバサの風が炎を運び始めると 、弓を放り出して逃げていった 。
「おっほっほ !おほ !おっほっほ ! 」
キュルケは勝ち誇って 、笑い声をあげた 。
「見た ?わかった ?あたしの炎の威力を !火傷したくなかったらおうちに帰りなさいよね !あっはっは ! 」
「よし 、ぼくの出番だ 」
いいところがまったくなかったギ ーシュが 、炎の隙間から浮き足立った敵めがけて 『ワルキューレ 』を突っ込ませようと立ち上がったとき … … 。
轟音と共に 、建物の入り口がなくなった 。
「え ? 」
もうもうと立ちこめる土ぼこりの中に 、巨大ゴ ーレムの姿が浮かび上がった 。
巨大ゴ ーレムはなんなくギ ーシュのゴ ーレムを 、足で弾き飛ばす 。
「あちゃあ 。忘れてたわ 。あの業突く張りのお姉さんがいたんだっけ 」
キュルケが舌を出して呟いた 。
「調子にのるんじゃないよッ !小娘どもがッ !まとめてつぶしてやるよッ ! 」
ゴ ーレムの肩に立ったフ ーケが 、目をつりあげて怒鳴っている 。
「どうする?」
キュルケはタバサの方を見た。
タバサは、両手を広げると、首を振った。
ギーシュは、巨大なゴーレムを見て、激しくパニックに陥り
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