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無欠の刃
下忍編
禁忌
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 気が動転したカトナは目の前にいる存在が、誰かわからない。
 ただ、今のカトナにとって、カカシは自分の味方ではなく、里の大人だ。
 カトナの味方はここにはいない。カトナの敵しか、ここにはいない。
 カトナの味方の彼が居ない。
 カトナを助けてくれる彼が居ない。

 「…さすけ」

 見たくないものから目を逸らせないときは、俺がこの両手でお前の目を隠してやるよ。

 「…さすけ」

 聞きたくないものが聞こえる時は、俺がこの両手でお前の耳を塞いでやるよ。

 「…さすけ」

 お前がナルトを守るためにお前自身を犠牲にするなら、俺がそんなお前を守ってやる。
 どんなときでも、俺がお前を支えてやるよ、カトナ。
 

 たす、けて。


 声にならない声が、その場に響いて。
 その瞬間、ばんっとドアが開けられた。

 「カトナ!!」

 カトナがゆっくりと、その方向に振り返り、くしゃくしゃに顔を歪める。
 
 「さすけ」

 必死に手を伸ばしたカトナ以外に見向きもせず、サスケはカトナを抱きしめ、頭を撫でる。
 カトナはたったそれだけの挙動で、安心したように、サスケの服を握りしめ、そして何度も言葉を紡ぐ。

「なると、なるとのために、生きて。私、生きて、生まれて」
「そうだな」
「私、なんて、ナルトいない、と、何の役にも立たなくて、なるとが、なるとが、私にとって、の許しで、」
「ああ、分かってる」
「私、私が悪いって、知ってる。知ってる、けど、けど、わたし、がんばって、なにも、できない、できなくて」
「そうかもな」
「いやだ、やだ、みすてられたくない、やだ、ここ、いたい。おねがい、ゆるし、ごめんなさい、わたしがまんする。それでうまくいく、のに!!」
「知ってる」
「わたし、まもる、まもらなきゃ、やくそく。やぶりたく、ない。きらわれ、いや。こわい、おいてかな、ごめんなさ、がまん、がまんす、するから」

 何度も何度も、要領を得ない言葉を繰り返していたカトナは、ふいに、サスケをその赤い瞳で見つめた。

 「ごめん、さすけごめん、利用して、ごめん」

 今にも泣きだしそうな顔に、その言葉に、サスケは悲しげに微笑んだ後、そっとその手でカトナの頭を撫でる。
 その瞬間、カトナは今までの悲しげな顔を一転させて、嬉しそうに微笑んだ。

 「…眠ってろ、ばか」

 とんと、サスケがカトナの首筋に手刀を叩き込む。
 無防備に晒されていたカトナが、あっさりとそれを受け入れ、かくりと首が落ちる。
 それを慣れた動作で抱きとめたサスケは、カトナを壁にもたれかけさせた後、カカシを睨み付ける。

「てめぇ、カトナに何を言いやがった」
「…お前はナルトの為だけに生きているわけじゃ
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