第200話 赤の妖精と水色の妖精
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花弁のような形をした氷の盾を造形し液体から身を守る―――が、どんなものでも溶かす事が出来る液体は氷の盾をドロドロに溶かしていく。
ユ「(やっぱり、氷の盾じゃ防ぎ切れない・・・)」
氷の盾が完全に溶け切る直前、ユモは体勢を低くし液体を避けたが、髪を束ねている青いヘアゴムがブチッ!と音を立てて切れた。胸ぐらいの長さのユモの水色の髪の毛が、月明かりに照らされて銀色に輝く。
悪魔8「髪・・下ろした方がカワイイじゃねーか。」
ユ「戦う時に邪魔だから・・・でも、もう結ぶゴムがないから仕方ないわね。」
ユモは困ったように呟きながら、構えた両手に冷気を溜めると、
ユ「アイスメイク、双剣ッ!!」
氷の双剣を造形し、小さく地を蹴り駆け出した。
走るユモ目掛けて悪魔は液体を吐き出す―――が、ユモは走りながら右に、左に移動し液体をかわしていく。
ユ「ハアアアアアアアアッ!」
悪魔から5mほど離れたところで、ユモはその場で高く跳躍し氷の双剣を悪魔目掛けて振り下ろした―――が、悪魔は両手でガシッと剣先を受け止めた。
ユ「!」
目を見開いているユモとは裏腹に、悪魔は口角を上げ不敵に微笑むと、「ふっ」と短く息を吐いたのと同時に、ユモの右肩目掛けて一滴ほどの液体を吐き出した。
ユ「アアアアアアアアアアアアアアッ!」
ジュゥ〜と蒸発するような音を立ててユモの右肩が焼けていく。
どんなものでも溶かしてしまう液体は、スポイト一滴ほどの少量でも効果は抜群で、人間の体に当たると焼けるような痛みが襲う。
ユ「アアアアアアアアアアアアアアッ!」
右手で右肩を力強く押さえたまま、ユモは地面に倒れ込む。歯を食いしばり痛みに耐えようとするが、焼けるような痛みはなかなか治まらず、あまりの痛みに目が潤み始める。
悪魔8「まずは小手調べとして、肩にしてやったんだ。どうだ?痛いだろ?」
ユ「っ〜〜〜〜〜!」
声にならない呻き声を上げながら、ユモは目の前にいる悪魔を若干潤んだ青い瞳で睨み付けた。
トッ「俺は“死の悪魔”トッドゥだっ!ドロドロに溶けて死んじまう前に教えておくぜっ!」
ユ「・・・死・・・・?」
ユモは右肩を押さえながら、よろよろと立ち上がる。
トッ「俺には分かるぜ。お前が・・・今まで多くの“死”を目の当たりにしてきた事がな。」
ユ「!」
トッ「生まれ育った街の人々、父さん、母さん、兄、友人の姉、師匠・・・めちゃくちゃ“死”を味わってんだなお前!気に入った!お前、名前は何て言うんだ?」
ガタガタと肩が小さく震えているユモにトッドゥは問う。
ユモは痛む右肩を押さえながら、自分の哀れな過去を思い出しながら、小さな声で呟いた。
ユ「
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