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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶 〜 帝国歴486年(後篇) 〜
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ーの下で経験を積ませる、落としどころはその辺だろう」
ヘルトリングが“なるほど”と頷くとシュミードリン少佐も頷いた。
「では、どなたを副司令長官に?」
「さて、それが難しい」
私が答えると二人も考え込んでいる。名将ミュッケンベルガーの後継者選びだ、なかなか難しいものがある。
「卿らは如何思うか?」
私が問い掛けると二人は顔を見合わせた。“遠慮は要らん、思った事を言え”と促すとヘルトリングがメルカッツをシュミードリン少佐がミューゼルの名前を出した。
「情報部長がメルカッツの名を出したのは実績を買っての事だろう。少佐はミューゼル大将の名を出したようだが」
私が視線を向けるとシュミードリン少佐が僅かに姿勢を正した。
「ミューゼル大将は今回の勝利で上級大将に昇進するでしょう。それにローエングラム伯爵家も継ぐ事が決まっています。用兵家としても有能である事は間違いありません。まだお若いですが陛下の御覚えも目出度く御内意が有れば宇宙艦隊副司令長官、或いは司令長官も有り得るのではないでしょうか」
少佐の言葉にヘルトリングは少々面白くなさそうだ。なるほど、自分より若いミューゼルが恵まれすぎているのが気に入らんか。ヘルトリングはもう五十を過ぎたが未だ中将だ、まあこの先は大将で退役だろう、気持ちは分からんでもない。しかし、これからのミューゼルは決して楽では無い。ヘルトリングだけではない、シュミードリン少佐も知っていた方が良かろう。
「かもしれんな。だがミューゼルは決して楽しめんぞ。例え宇宙艦隊司令長官になってもな。むしろ地獄だろう」
「……」
「今回の会戦でミューゼルは武勲は上げたかもしれんが評価はされておらん、分かるか?」
二人が顔を見合わせた。そしてヘルトリングが“どういう事でしょうか?”と質問してきた。シュミードリン少佐も訝しげな顔をしている。
「遠征軍に於いてミューゼルは次席指揮官の筈だった。だが会戦を通してミューゼルは前線で戦う一指揮官でしかなかった。代わって全軍の指揮を執ったのはメックリンガーだ。この事を軽く考えてはならん。メックリンガーを総司令部に入れたのはヴァレンシュタインなのだからな」
二人が愕然としている、ようやく理解出来た様だ。今回の一件、脚本を書いたのはヴァレンシュタインだった。ならばどういう意図を持って脚本を書いたのか、それを理解しなければならない。
「あの小僧、ミューゼルを排除にかかると思ったが潰しにかかったわ。怖い事を考えるものよ」
「……」
「ミューゼルに指揮権を渡さなかった。つまりミューゼルには大軍を指揮する資質無し、帝国軍将兵六百万の前で盛大に宣言しおった。これ程までに派手な不信任の表明も有るまい、前代未聞だな」
ヘルトリング、シュミードリン少佐の二人が顔を強張らせている。中将とは
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