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俺はやはり間違った選択をした
彼もまた間違った選択をした
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必要になるのが俺というわけだ

誰か男友達と話しているのなら怪しまれないし、急に話しかけなくなってもその男友達に興味が行ってるのだと思ってくれるという魂胆だ

「なるほど、そう言う事か」

「だから、頼めるかな?」

「ああ、わかったよ。早乙女には俺から説明しておく」

俺がそういうと聖は嬉しそうに微笑んだ

なんだか腑に落ちないがバニングスの件も聖の件もこれで一気に方が付く

聖はその後また明日と一言言ったあと教室を出ていった

俺はその後椅子に座り本を読んでいたがしばらくすると早乙女が帰ってきた

「聖君の件はどうだった?」

「一応なんとかなったよ。俺が今後一定期間あいつとつるむ事になったけどな」

早乙女はそれを聞くと無言で自分の席に座った

その後、俺をチラチラと見てきたもので俺も何故か居心地が悪い

まだ出会って2日だが早乙女雪乃については少しわかってきたことがある

彼女は往々にして正しく、嘘をつかない

そんな俺が少し見てきた程度の彼女だがそれが今は何故か違うもののように感じている

「え、えっと。その、聖君の件をあなたには丸投げしてしまってごめんなさい」

俺の感じている違和感はどうやら新しい彼女の姿をみていたからなのだろう

もはや早乙女から謝罪をされるとは思っていなかった

やはり彼女は嘘をつかない

こんな俺にもすまないことをしたと思って謝る彼女の姿に少しばかり俺は惹かれてしまった

「別に大したことじゃねぇよ。俺がやろうと思ったからやっただけだ」

「そう、それなら良かった。今気づいたのだけれどあなたに謝るのってこんなにも屈辱的なのね」

「うっ……」

早乙女はにこやかに笑いながらとんでもないことを言ってきた

訂正、惹かれたと言ったのは間違いだ

こいつの容姿に少し惑わされただけだったんだ

やはりこいつは悪魔に間違いない、人がせっかく評価を変えようとしている時にこんなセリフを吐くなんて

彼女の善意に俺の善意を持って返したのが間違いだったのだ

いつも通り、俺はやはり間違った選択をした

「でも、ありがとう。羽武谷君」

だが、またひとつわかったことがある

早乙女雪乃は本当に嘘をつかないことだ

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