第二章
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!?残念だけれど」
母はその言葉に空しく首を振ってきた。
「ないね。わかってるだろ?」
「うん」
この言葉に頷くしかなかった。わかってはいた。
「何もないよ」
「食べるだけで精一杯だからな」
父も言ってきた。彼はスープを飲んでいる。殆ど具の入っていないスープを。その僅かな具は古いしなびた野菜であった。本当に粗末なものであった。
「何もないな」
「そうだよね」
フリッツはそれを聞いて悲しい顔で俯いた。
「わかったよ。じゃあいいよ」
彼は言った。
「御免ね、変なこと聞いて」
「それはいいけれど」
母は言う。
「何か今日はおかしいね」
「そうかな」
その言葉にはとぼけてみせた。あまり上手くはない演技ではあったが。
「そうだよ。まあいいさ」
母はそれ以上は聞こうとしなかった。フリッツにとっては幸いなことに。
「早く食べなさい。そして寝るよ」
「うん」
彼は頷いて食べるのを急がせた。それが終わると本当に寝るしかない。この時代は灯りになるものはどれも非常に高価であり貧しいフリッツの家にとっては高嶺の花だったのである。彼としてはどうすることもできないことであった。だがもう一つのことはどうにかしないといけないと思っていた。贈りもののことである。
皆同じベッドに寝ている。両親と同じベッドだ。フリッツはその中で考えていた。贈り物は何がいいか。あれこれ考えていたのである。
「何がいいかな」
考えても結論は出ない。出そうとしても出ない。結局何にするのか決められないまま時間はず義テイク。気付いたら朝になっていた。何にするのか決められなかった。
朝になって小さなチーズとやはり黒く堅いパンを食べて朝食を済ませた。それが終わってから畑仕事に取り掛かっても贈り物のことを考えていた。しかしそれでも何にするかは決められないでいたのであった。
そのまま働き続けていると父親が声をかけてきた。
「休憩にするか」
「そうだね」
母親がそれに頷く。フリッツも頷く。そして今度はパンは同じだがソーセージや魚もある幾分ボリュームのある昼食を採った。酸っぱいものだがワインもあった。それでエネルギーを補給するのである。
一家で食事を採る。野原に座り楽しい食事となった。しかしまだフリッツの顔は晴れないでいたのであった。それは変わりはしない。
しかし。野原にふと目をやっていると。彼の目に青い花が入って来た。ヤグルマギクの花であった。
「青い花か」
それを見て呟く。何気なく咲く花だった。しかしそれを見ていると。彼の心にあることが思い浮かんできたのであった。
「青い花はマリーネの赤い髪に合うかな」
それであった。それについて考えだした。朴訥な顔に思案の色を浮かばせながら。
考えだすと止まりはしない。どうなのか
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