暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(T) 〜白き少女の思惑〜
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女が興味を持つ対象が出来たことは良い事だが、それが他者であり自分であるのは喜ぶべきなのかどうか分からない。
 この少女の性質は子供のソレであり、興味を持つという衝動が見たことのない珍しいものへの好奇心という側面があるのは否めない。

 イリヤスフィールが初めてアインツベルンや魔術師として以外に、個人として接触した他人が俺なのかもしれない。

 そこから彼女が興味の対象をどうしたいと思うのかが問題だ。

 昼はイリヤという個人だが、夜はアインツベルンのマスターだと言っていたのは本人だ。
 平和的な話であれば昼間に会えばいいのだから、わざわざ夜に出向いてきたということはそういうこと。

「今までの貴方のお話は面白かった。だから特別に、私の玩具(もの)にしてあげる」

 ……目眩がする。

 話が面白いことと玩具にすることの脈絡のなさ。
 お喋り人形にでもされるんだろうか。私の"もの"という部分がだいぶよろしくない響きだったのは疑いようがない。

「お話するだけならほら、昼間に普通にしようぜ。バーサーカー同伴とか物騒過ぎるだろ?」
「イヤよ。本当ならレイジのサーヴァントを一瞬で潰して終わりだったのに。
 随分頑張るわね。善戦しているようだけど、私のバーサーカーに勝てるサーヴァントなんて居ないのに」

 少しだけカチンときた。

 この白い少女が従えるサーヴァントが規格外であるのは百も承知だが、それは俺のサーヴァントを無闇に貶めていい理由にはならない。
 フェンサーは相棒(パートナー)として十分な力量を持っているし、彼女自身の人格も俺は気に入っている。

 未だに隠されていることも多いが、それも俺が彼女を嫌ったり信用しない理由足りえない。

 現に今、フェンサーは俺を逃がす為に命懸けで戦っている。
 そんな彼女を無碍に扱うということ自体が、黒守黎慈の主義、信条からして認められるものではない。

「あんまり慢心してると足元掬われるぞ。例えば、そう。ここで俺がイリヤをどうにかしちゃったら、サーヴァントどうこう関係なく勝敗は決まる」

 バーサーカーを倒すにはこんな遭遇戦や単騎対決では勝機は見えないが、マスターを制圧するという視点で考えれば話は変わってくる。
 アインツベルンから送り込まれたイリヤも一筋縄では行かない敵手(マスター)ではあるが、あの巨人の狂戦士に比べれば格段に攻略難度は下がる。

 戦っているフェンサーを置いて逃げることに少し抵抗があったのは当然のこと。
 ここでイリヤスフィールを制して逆にフェンサーを助けることが出来るなら、俺としては願ったり叶ったりってわけだ。

「ふうん。サーヴァント無しなら勝てると思われているなんて、侮辱に等しいわね。
 いいわ。私のモノになるのが
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