暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(T) 〜白き少女の思惑〜
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逃げ切らなければ朝日を拝めない。
たまに蛇行しながら、時に曲がり角を激突しかねない勢いで右折左折し、追跡飛行する鳥からの被弾を減らす。
正直ここまで転倒していないのが奇跡に近い奇怪な走り方をしているが、転けたら人生さよならバイバイなのだから死んでも転けるわけにはいかない。
使い魔の数は4体になって以降増える気配はない。
余力を残していると考えれば使役の限界が4体だとは思えないが、追跡にはその数で十分と考えているのだろう。
迎撃をやめたせいで1体ずつの接敵だったのが、今や3体が同時にこっちを付け狙って飛行している。
鳥たちの配置と光弾を放つタイミングから、ある程度誘導されていることには気づいているが、こちらはイリヤとバーサーカーの位置を把握している。
多少ルートを邪魔されても、まんまと罠にハマることはない。
そう思っていた時期が僕にもありました!
「はぁ、はっ、は、っ……嘘、だろ……」
「あら、戻ってきてくれて嬉しいわ」
無邪気な笑みを浮かべて俺を迎え入れる白い少女。
馬鹿な……俺はずっと彼女から離れるように走っていたはずだ。
事実、熱源反応は────
「まさか、フェイク……」
目の前のイリヤの熱源を感じ取れない。
それどころか探知魔術の方は、動体も魔力も無反応を示している。
何らかの魔術で自身の情報を遮断しているのか。
こうして目の前にいる彼女を感じ取れるのとは別に、魔術による探知に一切引っ掛からない。
ずっとイリヤの熱源反応だと思っていたのは使い魔の囮か!
ということは最初から俺は術中に嵌っていた……掌の上だったということか。
恐らく探知を仕掛けた時点で索敵の質を看破され、逆にまんまと誘き出された。
索敵を拡げた際に即座に探知を無効化し、熱源となる使い魔と認識を入れ替えた。
2体だと思っていた使い魔は実は最初から3体存在していて、1体は熱源として移動。
後に4体になった使い魔は、こちらのルートを制限することで見事俺をイリヤの居る場所まで追い込んだ。
「随分手が込んでるな。そこまで俺に拘っているとは思わなかった」
彼女は高みの存在として聖杯戦争を傍観し、気まぐれに動くだけだと考えていた。
何度か話した印象からそう感じていたのだが、その認識はこちらの誤りだったのだろうか。
というより彼女がもしも本当に俺に拘っているのなら、その何度か話したことが原因である可能性が高いのだが。
「ええ。どうせ私が勝つんだから聖杯戦争はどうでもいいのだけれど、唯一目的があったの。
その目的はまだ一度も叶っていないけど、一つだけ興味が湧いたモノがあったわ」
「それが俺、なのか」
世情に疎い彼
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