暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(T) 〜白き少女の思惑〜
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五体満足で無事なことを願う…………最悪生きてさえいてくれれば、令呪を使用してこちらに強制召喚すれば何とかなる。
問題はイリヤの魔術師としての力が未知数なこと。
アインツベルンのホムンクルスは失敗作でさえ、並みの魔術師を軽く凌駕する能力を有すると聞く。
完全なホムンクルスである彼女のポテンシャルは、聖杯戦争に参加しているマスターの中でも随一だろう。
錬金術や人造生命体については知識に疎いが、少なくとも容易に倒せる相手ではない。
「はぁ、はぁ……は?」
呼吸を落ち着かせながら空を仰ぐ。
頭上には白く光る小鳥の形をした何かがいた。
どう考えても普通の生き物の類ではない。
「っ!」
背筋に走った嫌な予感。座った体勢から転がるように前へ。
予兆もなく吐き出された光弾を紙一重で避ける。
寸前まで俺が居た地面には小さく穴が穿たれていた。
直撃を受けても即死するようなものではなさそうだが、見るに単体で魔力生成まで行っている。
イリヤの使い魔か何かだろうが規格外にも程がある。あの大きさで自立行動、魔力生成まで行うなど並みの使い魔の範疇を超えている。
けど思ったより次弾が遅い。再装填には時間がかかるらしい。
躱した後に体勢を立て直す猶予はある。魔術刻印を総起動して戦闘思考に入る。
イリヤの姿は見えない。まだ追いついていないのか、先に使い魔だけ飛ばしたのか。
あの華奢な少女に全速力で駆け抜けた後を追いつかれては、男としての面目が立たないが……
「使い魔は1体か……?
刻印読込
(
Read
)
、7番『探知』と19番『索敵』を実行」
周囲の探知と索敵。動体検知、魔力感知、熱源反応を確認。
魔術探査を広範囲に拡げるということは相手にこちらの位置を知らせるようなものだが、使い魔に追跡されている以上そのリスク考慮に意味はない。
探査範囲内で動いているモノの数は3つ。魔力も3つ。熱源が1つ。
熱源は絶対にイリヤだろう。しかし他に人らしき熱源が一つもない。
これだけの範囲で他に何の反応もないということは、一般人を遠ざける措置が取られている。
奇遇だなんて言っていたが、何のことはない……彼女の狙いは最初から俺だけだったということだ。
キャスターとセイバーが接敵したことも知っている。
あえてそちらを放置してまでこっちを狙ってくるのは、やはり何かしら思うところがあるのだろうか…………
こちらの探査に気づいたのか、もう一体の使い魔がこちらに向かっている。
「
Blitz shot
(
光弾、射出
)
!!」
遅れて放たれた次弾を回避し、こちらも弾丸で鳥型の使い魔を撃ち落とす。
どうやら複雑な動きや思考はできないよう
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