暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
月下の死闘(T) 〜白き少女の思惑〜
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た時点で対象の体内に潜り込み、内側で数十秒間電撃を放出し続ける。
 普通の人間ならば一瞬で血袋と化して蒸発し、魔術師であっても耐え切る魔力や強度がなければ弾け飛ぶ。

 それを──────

「さすがね……」

 素の耐久性で堪えるバーサーカー。

 電気刺激によって筋肉の収縮を引き起こし動き辛くはなっているようだが、この魔術によるダメージで倒しきるのは無理らしい。

 ならば行動不能に陥っている間に、連続して高位魔術を叩き込む。
 私というイレギュラー、フェンサーは魔術の心得もある剣士……などという、生半可な評価で括られるものではないとここに証明しよう。



Flamberg(癒えぬ傷痕) Qual Schmerz(燃エル苦痛ヲ刻ム)
 ScramSahs(癒えぬ傷痕) aussterben(命ノ息吹途絶エ)
 Breitschwert(癒えぬ傷痕) verwunschen(傷ミハ重ク深ク)
 Falchion(癒えぬ傷痕) Blutvergiesens(流レル血止マラズ)



 重続詠唱を駆使し、同時に成立した大魔術は四。

 バーサーカーの内側で暴れている雷鳥が完全に消えるまで、凡そ20秒と踏んでいたが巨人は僅か10秒余りで復帰した。

 詠唱の隙に勢いのままに再び大剣を振るうも、合わせて弾き返す聖剣の一閃。
 
 而してフェンサーがこの四大魔術を発動させるまでたった10秒。
 数秒差で自由になったのはフェンサーであり、剣を合わせるのも容易だったといえる。

 並みの魔術師ならば十以上の小節を以て完遂する瞬間契約に匹敵する呪文を、技量故の詠唱短縮からたった二小節の呪文を四つ唱えるだけで完成させた。

 フェンサーという英霊の魔術の真価。

 身の内に抱える───によって、過程を超えて結果を引き出す。
 自身の魔力により適う範囲内ならば、文字通り魔術において不可能はない。

「結構大変なのよ、コレ。それでも一度殺すくらいが限界でしょうけど、今はその一度で十分よ」

 背中に展開される四色四振りの剣。
 翼のように広がるそれは、それぞれ基本属性とされる火、風、土、水を基とした概念魔術礼装『Vier der Sabeltanz(四姉妹の剣舞)」。

 燃え盛る火の細剣、逆巻く風の短剣、飢えた土の大剣、渦巻く水の長剣。
 傷を焼き焦がす火、幾重にも刻む風、涸れ腐らせる土、血を凝固させない水。

 いずれも傷付けるという意味と不治の呪いを孕む、物理的手段では防ぐことは適わない魔剣。
 かなりの魔力を持っていかれるが展開時間は数分、短期決戦時のみの使用に限られる対人殲滅魔術だ。

 セイバー以上に白兵戦に特化したバーサーカーに、十二の試練と
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