暁 〜小説投稿サイト〜
うみねこのなく頃に散《虚無》
第二の晩 (1)
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ームも少しは面白くなるだろう。


「では、今までの【赤】を踏まえて...。俺のゲーム、存分に楽しんでくれ」


 俺の初手。動かすのは、俺自身の駒。
 場所は、厨房。俺の駒の周りには、絵羽、楼座、真里亞の駒。



◇◆◇◆◇◆◇◆



 視界が元に戻る。
 身動きが取れない。どうやら、柱に括り付けられているようだ。

 ......ああ。思い出した。
 結局、真里亞に懐かれはしたものの他の親族には不審がられ、最低限動ける程度に両手両足を縛られた。
 俺が缶詰めだけでは腹に満たらず「厨房でおにぎりでも作ってくる」と申し出たところ、懐いた真里亞が付いて来ると聞かず、保護者の楼座と護身術が使える絵羽が同行することになった。
 それで柱に括り付けられ、目の前では絵羽と楼座のおにぎり創作合戦が繰り広げられている。


「狼さん。ほら、真里亞も作ったの。食べさせてあげるね、うー」

「おー。また立派なモノを......」


 身動きが取れない俺のために、真里亞が自分で作ったおにぎりを差し出す。が、大きいな。一口では無理だ。
 砂遊びなんかで覚えたであろう塊。大きく口を開きかぶり付く。

 うん。塩辛い。
 そして、中には何の味も...強いて言うなら、米の味しかしない。

 まあ、初めてならこんなものだ。


「旨い旨い。......だが、惜しかったな」

「うー?」

「真里亞、これを作る時に呪文は唱えたか?」

「呪文? うー...。唱えてない」


 真里亞は肩を落とす。
 まあ、そう落ち込むな。教えてやるから...。


「まだ米は残っているか?」

「うー。少し残ってる」


 よし。それを使おう。俺は、その米を使うように促す。
 真里亞は、その小さな手に納まるくらいの米を乗せ、俺の指示に合わせておにぎりを作っていく。大体形になってきたところで、一旦手を止めさせる。


「そこで呪文だ。“おいしくなれ”...これだけだ。ほら、握ってみろ」

「うー!! おいしくなぁれ♪おいしくなぁれっ♪」

「さあさ、想像しなさい。あなたの生まれ変わる姿を、思い浮かべてごらんなさい」


 俺と真里亞の間に黄金の蝶が現れる。今はこの小さな一匹しか呼び出せないか。まあ、正式に引き継いだわけでは無いし、真里亞のおにぎりの大きさなら、このくらいが丁度いい。
 それに、楼座はまだ魔女の真里亞を認めてはいない。戦人には劣るが、彼女も毒素の塊には変わらない。絵羽は魔法を忘れたかつての魔女。どう反応するか分からないな。

 どうやら、創作合戦も決着がついたようだ。

 大きめの皿に、山のように盛られたおにぎりの数はほぼ同じ。というか、そんな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ