第二の晩 (1)
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ームも少しは面白くなるだろう。
「では、今までの【赤】を踏まえて...。俺のゲーム、存分に楽しんでくれ」
俺の初手。動かすのは、俺自身の駒。
場所は、厨房。俺の駒の周りには、絵羽、楼座、真里亞の駒。
◇◆◇◆◇◆◇◆
視界が元に戻る。
身動きが取れない。どうやら、柱に括り付けられているようだ。
......ああ。思い出した。
結局、真里亞に懐かれはしたものの他の親族には不審がられ、最低限動ける程度に両手両足を縛られた。
俺が缶詰めだけでは腹に満たらず「厨房でおにぎりでも作ってくる」と申し出たところ、懐いた真里亞が付いて来ると聞かず、保護者の楼座と護身術が使える絵羽が同行することになった。
それで柱に括り付けられ、目の前では絵羽と楼座のおにぎり創作合戦が繰り広げられている。
「狼さん。ほら、真里亞も作ったの。食べさせてあげるね、うー」
「おー。また立派なモノを......」
身動きが取れない俺のために、真里亞が自分で作ったおにぎりを差し出す。が、大きいな。一口では無理だ。
砂遊びなんかで覚えたであろう塊。大きく口を開きかぶり付く。
うん。塩辛い。
そして、中には何の味も...強いて言うなら、米の味しかしない。
まあ、初めてならこんなものだ。
「旨い旨い。......だが、惜しかったな」
「うー?」
「真里亞、これを作る時に呪文は唱えたか?」
す
「呪文? うー...。唱えてない」
真里亞は肩を落とす。
まあ、そう落ち込むな。教えてやるから...。
「まだ米は残っているか?」
「うー。少し残ってる」
よし。それを使おう。俺は、その米を使うように促す。
真里亞は、その小さな手に納まるくらいの米を乗せ、俺の指示に合わせておにぎりを作っていく。大体形になってきたところで、一旦手を止めさせる。
「そこで呪文だ。“おいしくなれ”...これだけだ。ほら、握ってみろ」
「うー!! おいしくなぁれ♪おいしくなぁれっ♪」
「さあさ、想像しなさい。あなたの生まれ変わる姿を、思い浮かべてごらんなさい」
俺と真里亞の間に黄金の蝶が現れる。今はこの小さな一匹しか呼び出せないか。まあ、正式に引き継いだわけでは無いし、真里亞のおにぎりの大きさなら、このくらいが丁度いい。
それに、楼座はまだ魔女の真里亞を認めてはいない。戦人には劣るが、彼女も毒素の塊には変わらない。絵羽は魔法を忘れたかつての魔女。どう反応するか分からないな。
どうやら、創作合戦も決着がついたようだ。
大きめの皿に、山のように盛られたおにぎりの数はほぼ同じ。というか、そんな
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