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SAO−銀ノ月−
第七十一話
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と、左手の補助コントローラーを大きく上に動かし、キリトよりさらに上に飛翔していく。キリトよりさらに上――つまり、虹色の障壁がある場所だ。

「よせ、リズ!」

 彼女の思惑を察して止めに入るが、ユイを助けるために距離を取っていて間に合わない。小さくなったリズの翼を掴もうとした手が空振り、リズは虹色の障壁がある場所にたどり着くと、思いっきり障壁にそのメイスを振り上げた。

「せやぁ!」

 もちろん、リズのメイスは虹色の障壁にあっけなく弾き返されるのみで、何ももたらすことはない。そして、先のキリトやユイと同様に、神域を侵した天罰とばかりに雷撃がリズに送られる。

「キャッ!」

「リズ!」

 雷撃をもろにくらって翼のコントロールを失い、リズはあわや墜落かという軌道を取ってしまうが、何とかその前にリズを担いで助け出す。図らずもお姫様抱っこと呼ばれるような抱え方になってしまうが、そんなことを気にしている場合ではない。胸元のリズへと顔を向けると、彼女はとても悲しそうな表情をしていた……

「……ごめん、やっぱり無理だった……」

「……無茶しすぎだ、リズ」

 いきなり、どうしてこんなことをしたのか――などとは聞かず。そうリズが謝罪するのを聞いてからそっぽを向くと、リズがゴシゴシと顔を拭いて、涙ぐんでいる表情を普段通りの表情に戻す。再び顔を向けると、完璧に普段通りとは言わないまでも、今までの泣きっ面ではなくなっている。この顔なら大丈夫かと判断し、リズを抱えながらキリトやみんなのところに戻ろうとした、その時。

 目の前に、一つのカードが落ちてきていた。

「カード……?」

 リズを手元から下ろして自分で飛翔させるようにしながら、俺はその落ちてきたカードを拾う。それは、妖精の国とも称されているこの世界には似つかわしくない、カードキーと呼ばれるような物だった。全く身に覚えも見当もなく、とりあえずリーファかレコンに見てもらうか、と思っていると、胸ポケットにいたユイが勢いよく顔を出した。

「これは……システム管理用のアクセス・コードです! 対応する端末があれば、もしかしたらシステムにアクセス出来るかも……」

 そのユイの一言は、俺たち全員を――キリトたちが先にこちらに飛翔して来ていた――凍りつかせるほどの威力があった。1プレイヤーが絶対に持つことが出来ない、システム管理用のアクセス・コードという謎のアイテム。そんなものがただ落ちてくる筈がなく、考えられる理由はただ一つ。

 ――アスナ。彼女がキリトかユイに気づいて、このアイテムを託したのだ。

「……キリト」

 静かにカードキー形のアクセス・コードをキリトに渡すと、キリトもまた無言でそのカードキーを見つめて押し黙った。まるで、そのカードキーを
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