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SAO−銀ノ月−
第七十一話
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「君には関係な――」


「……うるっさぁぁぁい!」


 キリトが決定的な一言を発する直前、突如として響いた声にその一言はかき消される。声の発する方向を振り向くと、雲海から新たな闖入者が現れる。雲海という白一色の場所からは、否応なしに目立ってしまう――ピンク色。

「リーファちゃんどうしたの! 大丈夫!?」

 ……と、緑色。

 補助コントローラーを注意深く動かしつつ、危なっかしくリズとレコンの二人が雲海から現れる。地上で待っているようにいった筈だが……ただ待っているような彼女ではない。そんな基本的なことを忘れていた自分へ顔を覆っていると、レコンは心配そうにリーファへと、リズは怒り心頭と言った表情でキリトへと飛んでいく。

「あんた! あたしの親友を助けたいの!? 助けたくないの!?」

 開口一番、彼女はそうキリトへと言い放った。それを聞いたキリトは苛立った表情にさらに皺を寄せると、負けじと大声で怒鳴り返した。

「助けたくないわけないだろ! だからこうやって――」

「こうやって、何よ? 無駄なことに時間かけて、パーティーに迷惑かけて、あたしと口論すること?」

 キリトの言葉に被さるように問いただすリズの言葉に、キリトは続く台詞を飲み込んでしばし押し黙る。リズの意図を察した俺は、気流に必死に抗いながら飛行するユイを救出し、一時の避難場所としてコートの胸ポケットを提供する。

「ショウキさん、パパとリズさんを――」

「……ここは、リズに任しておいてくれよ」

 二人を止めてください――と続くユイの台詞を制し、共にキリトとリズを見守らせる。ユイは納得がいっていないような憮然とした表情をしていたが、最終的には鬼気迫る二人に割ってはいることは出来ないと判断したのか、コートの胸ポケットで見守ることを選択する。それはリーファとレコンも同様らしい。

 他の面子が見守るなか、リズのキリトへの言葉は続いていた。話しているうちに彼女も感情的になり、その瞳には涙が滲んでいた。

「あたしなんかに怒鳴られてさぞ屈辱でしょうけどね。あたしの親友を助けられるのは、あんただけなの!」

「………………」

 それはリズ本人に親友を助けられる力がない、という自分自身の力のなさ……コンプレックスを吐露する行為。ALOのメンテナンスが終わる前のリアルでの別れ際、アスナを捕らえている者を一発殴る事を、俺に代わりに頼んでいたように。彼女に出来ることは、あくまで託して願うことだけ――それは彼女にとって、あのデスゲームでの大きな負い目となっていた。

「あたしだって、今すぐこの世界樹をぶち壊してやりたいぐらいなのに……! ……助けられるのはあんただけなのよ、キリト……!」

 リズはそこまで言い切る
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