第七十一話
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」
リーファの手をはねのけながら、墜落から復帰したキリトは手持ちの大剣を引き抜く。すると、障壁として襲いかかる電撃を大剣で防ぎながら、再び世界樹に向かって飛翔を始めるが、虹色の障壁に行く手を阻まれる。さらに天罰のように炸裂する電撃はキリトにも防ぎきれず、いつしか衝撃で吹き飛ばされてしまう。
「ぐっ……!」
「もう止めて!」
「キリト!」
それでも攻撃しようとするキリトに対し、リーファが大剣を持っていない手を掴み、俺が背中から抑え込む。キリトは一時暴れようとしたものの、目の前を光が通り過ぎて静まる。
ユイがキリトの胸ポケットから飛び出したのだ。その羽から光を発しながら、キリトの目の前を通り過ぎていき、先のキリトのように世界樹に向かっていく。キリトを抑えていたせいで、ユイが世界樹に向かうのを止めることは出来なかったが、元はGM側だったユイならば――と思いその行く末を見守った。
だが、神の天罰は誰の前にも平等だった。昔がどうであろうと、今はただのナビゲーション・ピクシーという枠に囚われてしまっているに過ぎない。キリトと同様に雷が降り注ぎ、虹色の障壁も含めてユイの行く手を阻んでいく。
「やめてよキリトくん! ユイちゃんも! ここから先には行けないんだよ!」
「それでも行かなくちゃ……行かなくちゃいけないんだ!」
リーファの必死の問いかけも、やはりキリトたちには届かない。アスナの直接的な手がかりを得て、キリトの中の何かが爆発した。こうなればもはや、キリトを止めることが出来る人物など存在しない。
――冷静になれ、止めろ、などと言うだけならば簡単だ。しかし、ようやく愛する人の手がかりを見つけた彼に対して、俺がそんなことを言う権利はあるのか……?
「警告モードなら……ママ! 聞こえますか! ママー!」
……どうしてもそういう風に考えてしまい、俺が声をかけることを躊躇っている間に、ユイが悲痛な声をあげてアスナに対して呼びかける。警告モード――というものが何か、というのは良く分からないが、ユイにとって何か考えがあった声が雲海に響き渡る。
「…………」
――が、世界樹からは何の返答もない。
「……くそっ!」
キリトがそう吐き捨てるやいなや、抑えていた俺たちから無理やり身体を解放させると、再び黒い大剣を身体の正面に構える。剣を盾に神の雷と虹色の防壁を打ち破る、とばかりに振りかざした時、リーファがその前に無防備に身体を晒した。
「キリトくんどうしちゃったの! ちゃんとあたしにも説明してよ!」
キリトがもう一歩前に出れば、リーファは黒い大剣に身を引き裂かれる。正確には障壁にでも飛翔すれば――だが。そんなリーファへキリトは苛立ちの表情を浮かべ、言葉を発する
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