暁 〜小説投稿サイト〜
魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
九校戦編〈下〉
九校戦四日目(5)×ほのかの波乗りと名無しの力本領発揮
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わりつくほのかの姿に段々と機嫌の勾配を傾けていった深雪が、ほのかを兄から引き離すようにしてどうでもいい雑談をしたが最後はほのかのレース後である名無しの決勝トーナメントだ。それを合わせるかのように、蒼い翼の修復・点検チームが早めに最終レースを終わらせて深雪達をスピード・シューティングの方に行かせるためでもある。

手首、足首まで覆うウェットスーツと厚手のスイムシューズは、落下や激突の摩擦と衝撃から選手の身体を守る為の物。だけど圧迫気味に全身へ貼り付くユニフォームは、選手の身体のラインを実際以上にメリハリのあるものとして見せている。太ももには中抜き文字で大きく「ICHIKO」のロゴ。高校一年生とは思えぬ刺激的なプロポーションをカラフルなウェットスーツに浮かび上がらせ、ボードに片膝をつくスタイルで、ほのかはスタートを待っていた。デバイスは前腕部を覆う、幅を広くし厚みを薄くしているタイプで、面積が増えた分だけ操作用のボタンも大きくなっている。

最初に断った通り、一真(ゼロ)はほのかのデバイスを一切調整していないからという事と、少し見てみたが直すところはなかったからである。中条先輩とほのかから何かアドバイスをと言われたので一真(ゼロ)が口を出したのは一点で、ほのかが着用している濃い色のゴーグルは一真(ゼロ)が持ってきた物だ。今は西へ傾いているから真夏の日差しが強いので、向き合うと眩しいくらいだった。グラス面に付着した水飛沫が視界を遮るのを嫌って、ゴーグルやサングラスを着用する者はほとんどいない。中条先輩は視界を狭めるデメリットしかないように感じられたが、ほのかは迷わず一真(ゼロ)の持ってきたゴーグルを着用した。一真(ゼロ)が渡したゴーグルは、グラス面が対水飛沫でほとんど濡れないし、逆に視界が狭まらないようになっている。

「・・・・そういえば光井さんは何故、光学系の起動式をあんなに沢山準備しているんでしょう?」

エンジニアが起動式の種類まで口を出すのは稀な事で、起動式のラインナップまで自分で決めてしまう一真は例外で、普通エンジニアは選手の希望した通りに起動式をデバイスへインストールする。ほのかが光学振動系の幻影魔法を得意としている事は、中条先輩も選手プロフィールから知っていたが、この競技の性質上、幻影魔法の出番は無いはずだと中条先輩の正直な感想だった。

「バトル・ボードのルールでは、他の選手に魔法干渉する事は禁じられていますが水面干渉をした結果、他の選手妨害となる事は禁止されていません」

「・・・・どういう事でしょう?」

中条先輩に重ねて問われた一真(ゼロ)は、人の悪い笑みを返した。新人戦女子バトルボードの予選最終レース時に、観客席にいた俺達は皆サングラスをかけていたがその理由はすぐに知れたのだった。スタート時に一真達以外の観客達
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