第一章
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ゃないか」
「ドイツはいい」
ヒトラーの言葉がふと何かしら母親を語る様なものになった。
「ドイツは美しい。それに母なる国だ」
「母だっていうのかい」
「そうさ、母だよ」
ドイツに対する言葉は何処までも温かいものだった。彼の今の言葉には一方的ではないかとさえ思える愛情がそこには確かに存在していた。
そしてその言葉でさらに語るのだった。
「僕にとってはね」
「君はオーストリア生まれなのにかい」
「オーストリアを愛したことなんて一度もない」
言葉は一転して忌々しげなものに戻った。筆の動きもそれに合わせてか微妙に荒いものになった。絵を見るその顔も同じである。
「一度もね」
「それでドイツなのかい」
「そうさ、ドイツさ」
そしてドイツに対しては温かいのだった。
「ドイツこそ僕の国なんだ」
「おかしなことを言うね。相変わらず」
オスカーは言った。それはいつものことだと。
「そこまでドイツが好きだなんて」
「好きじゃないさ、愛しているんだよ」
彼のその言葉を訂正させるヒトラーだった。
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