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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶 〜 帝国歴486年(中篇) 〜
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付いているのかな。鈍そうな男だから気付いていないと判断していたが気付いた上で言っているのだとすれば奴の意見はなかなかに含蓄が有る。奴の口からはミューゼルが簒奪を考えているとは言い辛いか。相手は皇帝の寵姫の弟だ、正面から敵に回すには厄介な存在では有る。そして間接的にヴァレンシュタインもそれに関与していたとなりかねない。ふむ、鈍いのは私か? ええい、腹が立つ! ヘルトリング、なんで卿はそう面倒なのだ!
頭を切り替えよう、ヘルトリングの事はまた後で考えれば良い。もうしばらくは情報部長にしておいてやる。先ずはヴァレンシュタインとミューゼル、あの二人の事だ。次に動きが有るのは遠征後だろう。私の予測が正しければヴァレンシュタインは遠征後、ミューゼルを切り捨てる筈だ。ベーネミュンデ侯爵夫人、コルプト子爵によるヴァレンシュタイン襲撃事件の真相をリヒテンラーデ侯、エーレンベルク軍務尚書、ミュッケンベルガー司令長官に話すに違いない。どうなるかな、ミュッケンベルガーはミューゼルをそれなりに評価しているようだがリヒテンラーデ侯、エーレンベルク軍務尚書はミューゼルを評価してはいないだろう。むしろ危険視している節が有る。これ幸いとばかりに排除する方向で動く可能性は高い。
ヴァレンシュタインは陛下に万一の事が有った場合は国内の治安維持を担当する男だ、それを襲撃させたなどとなればそれなりの罰は与えられる。ローエングラム伯爵家継承の話は白紙撤回だな。あの九人が次の戦いで活躍すれば実戦指揮官にも不足は無い、となれば軍からも追放は免れん。グリューネワルト伯爵夫人も或いは宮中を下がる事になるだろう。皇帝の寵姫の弟だからといって全てが許されるわけではないのだ。それでも命を取られるところまでは行くまい。
陛下に縋ろうとしてもヴァレンシュタインは陛下の命の恩人でもある、その事は陛下も無視は出来ない筈だ。やはりミューゼルの処罰は免れない。ふむ、考えてみるとヴァレンシュタインと陛下の関係は思ったよりも深いな、何度かバラ園でも会っている。となると簒奪が嫌になった可能性も有る、簒奪せずとも体制の改革が出来るのではないかと考えた……。一度陛下とお会いしてみるか、拝謁ではなくバラ園で。その辺り、何か分かるかもしれん。もしそうならミューゼルとの決別は必然か。あの襲撃事件は迷っているヴァレンシュタインの背を押しただけだったという事も有り得る。
いやミューゼルもその辺りを察して噂を流した、後々邪魔になると判断してヴァレンシュタインを謀殺しようとした、その可能性も有りそうだな。いやいや、早まるな。それならばミューゼルにはもっと動きが有って良い筈だ。それが無いという事はやはりミューゼルにとっては思いがけない事件、そういう事だろう。但し、本人は気付いていないようだがもう取り返しは付かない状況になりつつあ
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