第四章
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ーの左の方にある参考書のコーナーにさりげなくを装ってだ。そうして見てみると自分と同じ学園でクラスはA組だった。なお彼や紅はF組である。
「A組か」
「ああ、そうだった」
そのまた次の日のお昼に教室で向かい合って弁当を食べながら紅に話す。加藤はお握りが中心で紅のそれはサンドイッチが中心だった。それぞれ手に取りながら食べている。
「そこだったな」
「A組ねえ」
紅はクラスを聞いて考える目になった。
「あそこか」
「何かあったか?A組に」
「いや、別にないけれどな」
特に変わったところはないというのだった。
「しかし。あんな娘いたか?」
「いたんだろ?四十人いれば目立たない娘もいるさ」
彼はこう紅に答えた。
「そりゃな」
「まあそれはそうだけれどな」
紅も今の加藤の言葉には納得した顔で頷く。頷きながらそのうえでサンドイッチを口の中に入れる。今食べているのはハムサンドである。ハムとパン、それにバターとマヨネーズの味が口の中を支配してその心地よさを味わいながら加藤と話をしているのだ。
「じゃあまずA組行ってみろ」
「次はそれか」
「さりげなくな」
この辺りは釘を刺すのだった。
「いいか、さりげなくだぞ。怪しまれるなよ」
「随分と慎重だな」
「御前本屋で結構挙動不審だったからな」
怪訝な目で加藤を見ながらの言葉だった。
「だからだよ。間違っても嘗め回すように見たりするなよ」
「それじゃあまるで俺が変質者じゃねえかよ」
「そう見える、本当にな」
かなり容赦のない言葉であった。
「だからだ。気をつけろよ」
「そんなにやばいか」
「こういうのは黙って話を進めるもんだ」
今度は野菜サンドを食べている。
「わかったな。黙ってだ」
「黙ってだな」
「下手に騒いだらそれで負けだぞ」
紅の今の言葉は厳しかった。
「豹の様にやるんだよ」
「豹かよ」
「そう、パンテルだ」
何故かここでドイツ語読みで言ったのだった。
「パンテルだ。いいな」
「それはいいけれどパンテルってドイツ語だろ?」
「ああ」
加藤もそこに突っ込みを入れずにはいられなかった。紅もそれに応える。
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