第八幕その十
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「そうしたら次の日もよく動けるから」
「夜は休むことだよ」
「そうですね、それじゃあ」
「まあ僕達は寝る必要がないけれどね」
「食べることも飲むこともね」
そうしたこととは一切縁がないのがこの二人です。
「けれど皆と一緒にいることは楽しいからね」
「いさせてもらうよ」
「いつもみたいにですね」
「こうした場は好きなんだ」
「食事には興味はなくてもね」
食べる必要がないのに興味を持つこともありません、二人にとって食べものとはただ目に入るだけのものです。
けれどです、皆が食べたり飲んでりして楽しんでいる笑顔はといいますと。
「笑顔に賑やかな声」
「そうしたものを見ることはね」
「好きだからね」
「一緒にいさせてもらうよ」
「つまりお二人は皆の笑顔を食べているんですね」
カルロスはここでこうしたことを言いました。
「そうですね」
「あっ、そうなるね」
「言われてみればね」
二人もカルロスの今の言葉に笑顔で応えます。
「僕達は何も飲んだり食べたりしないけれどね、口では」
「心ではそうだね」
「皆の明るい笑顔を見てね」
「そうして食べているね」
「そうなりますよね」
あらためて言うカルロスでした。
「それだと」
「うん、確かにね」
「カルロスの言う通りだよ」
「そうした食べものもあるんですね」
しみじみとしても言うカルロスでした。
「そうなんですね」
「そう、だからね」
「僕達も一緒にいたいんだね」
「食べるものは食べものだけじゃないんですね」
勿論飲みものもです。
「それ以外にもあるんですね」
「そういうことだね」
「笑顔やそういった明るいものもだね」
「食べるものでね」
「とても美味しいものということだね」
「そうですね、そしてその食べものは」
さらに言うカルロスでした。
「僕達も食べますね」
「そうね、それではね」
ドロシーも言うのでした。
「皆で笑顔も食べましょう」
「笑顔は幾ら食べても減らないよ」
トトはドロシーの横にいます、目の前にはお皿の上にあるとても大きなお魚のフライが二匹置かれています。
「それはね」
「そう、幾らでも出て来るからね」
「楽しい気持ちならね」
それならばです、笑顔はです。
「ずっと湧き出るものだから」
「幾らでも食べられるのよ」
「そして笑顔を食べるとね」
「食べた人はとても嬉しい気持ちになれるわね」
「そう思うと笑顔って凄いね」
トトはしみじみとして言うのでした。
「そうだよね」
「そう思うわ、それじゃあ」
「うん、僕達もね」
「食べましょう」
その笑顔をというのです。
「皆でね」
「うん、そうしてだね」
「今夜も楽しく食べましょう」
その晩御飯をというのです。
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