第二章
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第二章
「っていうか何かずっと前からあんなふうらしいぜ」
「ずっと前からかよ」
「ああ、数学の岩田先生」
二人のクラスで数学を教えている先生だ。気さくでユーモアがある先生として人気がある。
「あの人が言ってるんだけれどな」
「そういやあの先生俺達の先輩だったよな」
「ああ。それでな」
この前提を述べてからさらに話すのだった。
「あの先生もずっとこの本屋に通ってたらしいんだ」
「その頃からあの婆ちゃんいたんだな」
「全然同じだったらしいぜ」
こう話すのだった。
「もうな。顔も姿もおんなじでな」
「同じかよ」
「爺ちゃんもな」
この本屋にはお婆さんだけがいるのではない。お爺さんもいる。頭の髪の毛はもう一本もないがそれでも背筋のしっかりとしたお爺さんである。歩くのが外見の割りにかなり速い。
「同じだったみたいだぜ」
「あの先生今三十五だったよな」
「ああ」
「だったらその話十七年かそれ位前だよな」
単純に計算してそうなる。
「そっからかよ、あの人達」
「息子さんはまだ若くてお孫さんはまだ小さかったらしいけれどな」
「それはまあ当然だな」
流石にそこは変わるのだった。
「けれどあのお二人はな」
「あのままかよ」
「全然変わっていないらしいぜ」
それでまた言うのだった。
「もうな。十何年もな」
「全然って今幾つなんだよ」
聞いている方が首を傾げだした。
「一体全体」
「九十かそこいらじゃないのか?」
「九十か」
あらためてその年齢の凄さを思うのだった。
「長生きだよな、本当に」
「そうだよな。戦前からあそこで本屋やってるらしいしな」
こんな話も出て来た。
「それ考えると本当に長いよな」
「そうだよな。まあとにかくな」
「ああ」
ここで話が変わった。
「もう拭いたし中に入るか」
「そうするか」
服を拭いたのを互いに確認してから本屋の中に戻った。二人はそのまま漫画の単行本のコーナーに向かった。そうして色々と新刊をチェックしていると。
二人は少年漫画のコーナーにいた。そのうえで新刊をチェックしていた。そしてその少年漫画のコーナーの隣には少女漫画のコーナーがある。そこには。
「あれっ!?」
「どうしたよ加藤」
少年達のうち顔が細長く黒髪を結構派手に伸ばしてる方が背が少し高く何処か鋭利な顔をしてきりっとした雰囲気の方の名前を呼んで問うた。
「いきなり声あげてよ」
「あっ、何でもない」
「何でもなくて声あげるか?」
「ちょっとな」
だがここで言葉を濁すその加藤だった。彼の名は加藤啓介という。
「この新刊見ろよ」
「新刊!?」
「ほら、これだよ」
咄嗟に側にあったある本を手に取って友人に見せる。
「この新刊。面白そうだぜ」
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