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乱世の確率事象改変
首無き麒麟は黒と出会い
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ばかり震えた。彼らは間違いなく一つの身体に等しいと実感できて。

――相変わらずいい部隊ね。

 声には出さず、華琳は内心だけで褒める。自分の言葉は、帝の後では薄くなるだろう、と。

 華琳の本拠地であるこの街にて、集った鳳統隊を見てみたいと劉協が言ったので今の状況となっている。
 袁紹軍が陽武に進軍したとの報告が入るや否や、華琳は親衛隊と共に洛陽を離れて戻ってきている。孫策と周瑜に……都の守備を命じて。
 嘗て救った都で狼藉を働けるわけがなく、劉表暗殺の疑念を晴らすには丁度いいやり方。帝の臣であると示すにも十分であろう。

 家族を想い判断を過ったというのなら、家族を賭けて失態を注げ。諍いの鎮圧の為に指示を出す事は許すが都を離れてはならない。

 今度こそ何を優先するのか見せてみよ……それが華琳の与えた処罰である。
 劉表に近しかったモノ達には甘いと思われるやもしれないが、孫家に従う多くの命を遠くから眺めているしか出来ないのだから、戦場で剣を振るう王たる孫策にとっては厳しい罰となろう。
 戦を迅速に終わらせる為に帰すべき……というのは大陸の現状と先を思うなら言っていい事でもない。帝の敵は袁家が最優先であり、暴走した劉表の臣下よりも選ぶべきなのだから。

 油断なく、華琳は脅しを掛けてもいる。
 反旗を翻してもいい。逃げたければ逃げてもいい。
 洛陽を再び燃やし尽くす程の気概があるならば……そして後々に手を組むであろう劉備に不審の芽を与えてもいいのなら、ということ。
 帝直属の禁軍は、練度が余り高くないが、孫策軍の監視にと洛陽に置いてある。此処で孫策が裏切れば洛陽が戦火に沈む。
 帝を守ると言っても、華琳の街には不要な軍。華琳の親衛隊一万と黒麒麟の身体五百が居れば、最悪の場合、帝だけでも官渡まで連れ出す事が出来るだろう。
 そも、袁家に従うのが嫌で下剋上を為したのだから、共闘するとなれば恥も外聞も持たない下賤な王に堕ちる。混沌とした乱世を長く引き伸ばしたいのならそうすればいいが……未だ地盤が安定していない彼女達では不安が大きい。
 これで、個人の性格的にも、状況的にも、孫呉は洛陽から出られない。

――気高くあれ、誇りあれと心身を高めてきた孫呉の戦姫には、此処での裏切りなど出来ようはずがない。元より、孫呉がこの時にこちらを攻められるというのなら“私も孫呉を先に潰してもいい”。従って孫策は洛陽から逃げられない。

 身を滅ぼしてでも曹操軍を食い破ろうとするなら、華琳も同じく当たればいいのだ。
 出来る限り使いたくない策ではあるが、袁家に対して外部をぶつける事も華琳には出来る。
 帝が一声掛ければ飛んでくる忠臣の勢力が……この大陸には一つあるのだ。
 西涼を治めている馬の一族は自他共に認める漢の忠臣。袁家
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