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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
26.Jury・Night:『Blade Arts』
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ハ」

 だから、こそ。

「────新陰流」

 一歩を踏み出す。それは、

『馬鹿が────自らを疑い、勝利を捨てるなど!』
「────!」

 槍使いに指摘されるまでもない、それは同じ武芸者ならば誰もが解る『己の力への不信』であり────

《……呵呵(かっか)

 “悪心影”の問い(クエスチョン)への、言葉にすらしない返答(アンサー)であり────

『終わりだ────小僧!!』

 投げ槍の如く放たれながら突き出された、致命傷を狙う一ノ槍。心の臓を、貫くべく。

(かっ)────呵呵呵呵呵(かっかっかっかっか)! それで良い。これで……貴様の勝ちだ!》

 ()()()()に動いた(てき)に、嘲笑う!

《“人間五十年……下天の内を競ぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり”》

 吠える声と共に長谷部が十文字槍の鎌に捕まりながら、その鎌を斬り裂く。長谷部の異能、『信じる物を破壊する』効果で。だが、それは刃にのみ。
 槍技、『柳雪(リュウセツ)』だ。其処を反すように抑え込まれ、後は踏み込まれれば峰を抑えられた此方は為す術もない。突かれて、それで終わり。

『宝蔵院流────“惣追風(ソウマクリ)”!』

 繰り出した『大乱』から更に『応無手突』、その繰り返しからなる『指南免許』の槍理。それを後ろに下がりながら、躱せる筈もなく受けて。

《“一度(ひとたび)(しょう)を得て”……》

 振るわれた刃に割かれて迸る血飛沫、天井まで届いて。

「────“村雲(ムラクモ)”」
《────“滅せぬものの、在るべきか”》

 槍の柄による打撃に、右の肋を全てへし折られながらも、嚆矢は降り下ろしよりも速い下段からの摺り上げにて……槍術使いを斬り伏せたのだった。

『カ、ハッ…………見事よ。いや、我が信念こそが……我が弱さであったか……』

 倒れる事もなく、槍術使いは快哉を返す。それは、さながら正気に還ったようでもあり。

『……第七区、七十七番放水施設……そこに、奴は居る……頼む、ぞ……』

 その言葉を残し、息絶える。死人の効果も、信念有ればこそ。ただ、残るのは信を断たれた死骸であり。

「…………クソッタレが」

 ただ唯一、苦く後を引く卑怯な、苦しい勝利の味だけであった。
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