第十一章
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彼も老夫婦の言葉に心の中で頷きながら少年漫画のコーナーに向かった。するとその隣の少女漫画のコーナーにまた彼女がいた。
「ああ、今日はそこにいたのか」
「ええ」
御木本は彼の言葉に静かに頷いて答えたのだった。
「ちょっと。漫画も」
「少女漫画はな」
加藤はここで素直だった。
「興味はないけれどな」
「ないの」
「読んだことはないな」
これまた正直な言葉だった。
「こう言ったら何だけれどな」
「男の子だから?」
「まあな」
その通りだった。少女漫画を読まないというにはそのものズバリの返答だった。実際のところ性別で読む漫画はかなり区分される。本はどれでもそうであるが。
「それでな」
「そうよね。やっぱり」
御木本もそれで納得した顔になり頷いた。
「私も。男の子の漫画は」
「それは仕方ないな」
加藤もまた言った。
「まあそれでもだ」
「何?」
「漫画は読む」
少年漫画や少女漫画といったいささか細かいジャンルをどけた言葉だった。
「漫画もか」
「そう。漫画もなの」
「ああ。読む」
「小説だけじゃないのね」
「そっちもな」
二人共話をしているうちに少しずつくだけた笑顔になってきた。そのうえで話すのだった。
「それで漫画だけれど」
「何?」
「少女漫画だけれどどんなの読むんだ?」
こう御木本に尋ねるのだった。
「それで。どんな漫画が好きなんだ?」
「そうね。とりあえずだけれど」
目を右斜め上にしてそのうえで考える顔になって答えてきた。
「コメディーも好きだし。恋愛ものも」
「恋愛もか」
「ホラーも好きよ」
こうも答える御木本だった。
「そういったのもね」
「結構色々読むんだな」
加藤はその話を聞いてそのまま思ったことを述べた。
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