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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第十三話/SIDE-V 黒騎士
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当に最近、どこかで見たような……

 ――そうだ。アルヴィンだ。彼とこの男の目の色が似ているんだ。
 この一致。この既視感。思い出してきた。この男、まさか。

「捕えなさい。謀反を画策したシャール家の嫡女です」
「そんなっ」

 ――倒せない、わけではない。だが確か〈エリーゼ〉がガンダラ要塞に一度捕まった経験があると言っていた。〈エリーゼ〉がいない今は、我々が穴を埋めるしかない。

「イバル。やりすぎるなよ。上手く運べばミラのことが分かるかもしれない」

 ミラの名を出した途端に、イバルが苦渋を浮かべた。そうだ、それでいい。いつもの猪突猛進で、万が一にも、本当に兵を退けてしまっては意味がないからな。

 私ももちろん本気は出さない。適当な所でやられたフリをして連行されてやろう。

 二人して剣を抜き、向かって来た兵士を迎え撃つ。……本当に国軍かと聞きたいくらい弱いな、こいつら。手加減が逆に難し……

 ぱんっ

「っ!」

 今の、は。精霊術? ショックガンを受けたような痺れが、背中から全身に一瞬で伝わった。
 今のは黒匣(ジン)による攻撃術式だった。ジランド。あの男、やはり。

 まあいい。演技が本当になったんだと思って、今は耐えてやろう。その代わり、後で必ず一泡吹かせてやるからな。ジランドール・ユル・スヴェント――… … ……

 ………

 ……

 …

「――い、おい、起きろ! おい!」
「……起こしたいならせめて名前くらい呼んだらどうだ」
「! 気がついたかっ」

 体を起こす。痺れは取れている。この分なら戦闘に支障はないが、それにしてもこの後ろ手に嵌められた手枷、邪魔だな。

「お前が倒れてから、俺たち全員がここに放り込まれた」
「ドロッセルは?」
「隣の牢だ」

 ふむ。「ガンダラ要塞に連行、拘束される」という条件は満たしたんだ。茶番もそろそろ終わりとするか。

「イバル。私のポケットから懐中時計を出してくれないか」
「時計? そんなモノ今何に使うんだ」
「いいから頼む。現状打開の鍵なんだ」

 イバルは不承不承ながらにじり寄って、後ろ手でどうにか私のスーツのポケットに手を伸ばそうとしている。無理を強いてすまないな。

「取れたぞっ」
「手に落とせ」

 手に落ちる軽い重さ。時計を、指先を使ってスーツの袖口にねじ込んだ。


「お目覚めのようですね」

 間に合った。時計の受け渡しは見られていないはずだ。

 ラ・シュガル軍参謀副長、ジランド。アルヴィンの叔父。旧アルクノアの頭領。生粋のエレンピオス人。

「過去最悪の目覚めだがな」
「これは手厳しい。まあ、いいでしょう。貴方に伺いたいことがあります。アレの『カギ』
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