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聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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覚ました時には、まだ何の異常もなかった。数十分後に恋人の姫乃臨花と友人の篠原綾瀬がやってきて、一緒にクリスマスパーティをした。

 クリスマスプレゼント渡しは後にしようという事でとりあえず二人が風呂にいき、二人が上がってきてからアツヤが入って、そうして上がってきた時に――――

「だって……アツヤったら全く手だしてくれないんだもん」
「き、今日こそこれを以て、私と臨花のどちらを選ぶか決めてください……っ!」
「お前らどうした……? そんなキャラじゃなかったよな……?」
「クリスマスプレゼント何がいいかな、って調べてたら、《天宮》ってひとの《白亜宮》っていうブログにいきついて、『女性のあなたは『私がプレゼント』と書かれたタグをつけ、自分の体にリボンを巻いて彼氏の元へ突入してみましょう。大体の人は受け取ってくれるはずです。俺なら受け取るね』って書いてあったからやってみたの」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あの野郎……ッ!! 何考えてやがる……!」
「さぁ、早く! アツヤ!」
「ち、ちょっと待て!!」

 とりあえず赤いリボンを巻いた臨花と、青いリボンを巻いたアヤセを押しのけておく。

 状況整理。

 臨花と綾瀬は《天宮》に騙されていると考えていいかもしれない。まぁ奴の言っていることはあながち間違いではないだろう。先ほどから自らの本能を押さえるのにかなり苦労している。

 二人とも、客観的に見ても相当な美少女だ。自分にはもったいないくらいの。

 頬を上気させ、うるませた目で上目使いに見てくる。その破壊力の何と凄まじい事か。一応は臨花に心を許した身でありながら、どちらを選ぶのかに凄まじく迷ってしまう。

 ――――いやちょっと待て!

 何でもうどっちか喰う前提で話が進んでいる。

 ――――俺はこの状況を打破しなければならない……!

「二人とも、とりあえず落ち着いてくれ」
「えー……」
「むぅ……」

 アツヤは二人を下がらせた。

 だがすぐにでも再び飛びかかってきそうな二人を見て、「すぐに次の手を打たなければならない」とあわてる。

 ――――《天宮》の野郎……やってくれたな……ッ!

 と、そこまで考えて。

 彼が打開策を一緒に用意しているという奇妙な現実に気が付いた。

「臨花、綾瀬」
「なぁに?」
「……決心がついたのですか?」
「そうじゃねぇよ……」

 がっくりと肩を落としそうになりながらも、アツヤはきれいに包装されたクリスマスプレゼントを取り出した。

「ほい、プレゼント」
「わぁっ!」
「えっ……くれるんですか?」
「そうじゃなかったら何だっていうんだ……」

 二人とも神速でアツヤの手からそれを巻き上げると、開く。

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