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聖夜に捧ぐ『フローエ・ヴァイ・ナハテン』〜クロスクエスト〜
第七幕
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トだ、と言わんばかりに。

 ――――余計な、お世話だ。

 アクトはそう、心の中で呟いて。

 それでも、ほんのちょっとだけ……今だけの《感情》を、楽しんだりもした。


 
 ***



「ただいま」
「お帰り、来人」

 天城来人が帰宅すると、もうすでに北斗新羅は準備を終えていた。

 これは彼は預かり知らない事であるが、あの奇妙な異世界から帰還したのは、実は来人が最速である。誰よりも早く帰宅した彼は、直後、突然の職員会議で招集されて、学校へと向かっていたのだ。

 結局――――《天宮》とかいうあの変な男の導きで手に入れたクリスマスプレゼント以外に、新羅に何も用意してやれなかった。

「お風呂にする? ご飯にする? それともわ……」
「わりぃ、先に風呂いくわ」
「……」

 疲れた。それに、手に入れた『あのプレゼント』を渡すときは、さっぱりしていたい。

 閑話休題(そういうわけで)

 現在に至る。

「メリークリスマース!」
「メリークリスマス」

 打ちつけられたグラスが、かちんと涼やかに鳴る。

 中に入っているのはそこそこ高級なワインだ。すでに来人は成人。去年までは新羅が未成年だったので乾杯はサイダーだったのだが、今年からは酒である。

 ――――まぁそんなことはどうでもいいのだが。

「お疲れ様、来人」
「ホントだぜ全く。色々疲れた――――」

 会議もさることながら、そう、あの異世界での戦闘が。

 ほとんど永遠の『”宿敵”と書いて”友”と読む』(ライト)とその親友がやってくれたのであまり出番はなかったが、それでも疲れた。

 アバターのステータスは過去最高法だったのにもかかわらず、別人格は入っていないとかいうめちゃくちゃな仕様の体だったのもちょっと気になった。

 まぁそんな苦労のかいあって――――

「新羅」
「ん? どうしたの?」
「あのな、クリスマスプレゼント何だが……」

 そうして、背後に隠し持ったプレゼントを取り出す。

 この中には、一対のエンゲージリングが入っている。

 慎重に言葉を選ぶ来人。それを聞いて、プレゼントを見て、新羅が満面の笑みを浮かべてくれるように。



 ***



「アツヤ……受け取ってくれないの……?」
「やはり……だめ、なんですか……?」
「いや、どう考えてもおかしいという事に気付け」
「おかしくなんかない! 私正気だもん!」
「そうです! 早くどちらかを選んでください!!」
「いやおかしいだろ!! 何が『プレゼントは私』だ!!」

 12月24日、22時30分ごろ。

 盾神アツヤは――――恋人と友人に迫られていた。

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