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四重唱
第十八章
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組堅く抱き合っていた。それはハンナとアンドレアスであった。
「有り難う・・・・・・」
「うん」
 彼はハンナを優しく抱き締めていた。何も語らずに優しく抱き締めるだけだった。だがそれこそが今のハンナに必要なものであった。だからこそであった。
 二組のカップルが抱き合いそうしてその中で何かが完全に死んで戻らなくなってしまった。この舞台は薔薇の騎士の一つの歴史となった。しかしそれを知る者もそこにあった四重唱のことは知らないのであった。それは彼女達だけが知っているものであった。それだけのことだったが何かが完全に死んで静かに眠った。それだけだった。


四重唱   完



                  2007・11・12

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