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ソードアート・オンライン 神速の人狼
宴会
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「ん〜……ユーリ、おはよ〜」

 昨日のハーフポイントでの激戦が終わり、疲れた身体を癒すという名目のもと、たっぷりと惰眠を貪り尽くした後、ようやく目を覚ますとすでに陽は高く昇っていた。未だ眠い体を引きずりながら、リビングへと向かうとユーリがお気に入りのソファで丸くなっていた。当初は寝ているのかなと思っていたが実際はそうではなく、小さく震えていた。いつもはピンと立っている狼耳もへにょりと垂れ下がってしまっている。

 そーいえば、耳とか尻尾とか、ユーリの感情に応じた反応を見せるんだっけ?などと以前ユーリが教えてくれた事を思い出していると、

「…………索敵してみろ」

 こちらを向き、ただそれだけ言うとまた縮こまってしまう。

「何があるのやら…………ひっ?? なにこれ!」

 言われた通り索敵をしてみると、プレイヤーを表す白い点がホームの周りを取り囲んでいた。しかも、その数が1や2ではなく、数十個。ゾンビに囲まれたら、こんな気分になるのだろうか?耳を澄ませば、ゆーりさぁ〜ん……と呼ぶ声が聴こえてくる。一体これはなんの罰ゲームだと思っているとすぐそこに答えがあった。

「なるほど……これのせいか」

 そばに置いてあった新聞の一面に、でかでかとユーリのアップ写真が載せられ、

 "新たなるユニークスキル。ボスを断ち切る豪剣。帰ってきた攻略組の華"

 等々書かれたい祭りだった。必然的に家の周囲を囲むプレイヤー達は情報を求めにきた情報屋と野次馬根性丸出しの者たちということになる。

「ヒースクリフもこんな感じに囲まれたのかなぁ」

「あいつなら、逆に利用してギルドの番宣代わりにでもしそうだよ……」

「ユーリもしてみたら?」

 冗談混じりに言ってみたら、全力で首を横に振られた。解せぬ。

「それにしてもさ、これじゃあ外出できんねー」

「まぁ、方法はないこともないが……」

 そう言うが早いか、懐から 転移結晶 (テレポート・クリスタル)を取り出す。口早にボイスコマンドを発声すると淡い燐光を撒き散らしつつ、姿が消滅する。

「転移、アルゲート!」

 ひとり転移して行ってしまった相方を恨めしく思いながら、取り残された私はこれからどーしよと悩むのだった。



 ◆◇◆

「なぁ、ユーリ……お前の気持ちもわからないでもねぇがよ。ここは安宿じゃねえ!」

 エギルが怒鳴り、ユーリが耳を抑えて、うるさいとアピールする。
 現在、ユーリは第50層主街区《アルゲート》にあるエギルの店の二階で匿ってもらうという大義名分の下、くつろいでいた。

「まぁ、代わりにボス戦でドロップしたアイテム売ってやるからさ。」

 トレードウィンドウを開き、不要なアイテムを入力していく
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