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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
暗躍鐘楼
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天魔―――妖怪の山の社会を総べる統領―――に与えられた任に誇りを持っており、故に作戦遂行に妥協をすることはない。
それは天魔の理念に陶酔しているからなのか、天魔そのもに対してその情愛が向けられているからなのか。
どちらにせよ、その実直さが災いしていらぬ問題を抱える場合も多々あり、それに巻き込まれる形となる同僚は、普段の彼女の態度もあってどんどん彼女を孤立させていった。
イジメとかではなく、単純にいらぬ苦労を買いたくないからという理由だが、傍から見れば似たようなもの。
対して椛自身は、その事に対し何の感情も浮かべておらず、寧ろ気が晴れたと言わんばかりにより一層任務に精を出すようになった。
天魔はそんな彼女の行き過ぎた態度に何の対応を見せようとしない。
大方、彼女を律することが出来ずに統領は名乗れないと考えているのだろう。その飛び火が部下に向けられていては、本末転倒な気もしなくもない。
「心外ですねぇ。これでもお見舞いに来てあげたんですよ。まぁ、気になることがあるのは事実ですが」
バツの悪そうに頭を掻く文。
半分は当たりだったことからも、椛の警戒が緩まることはないどころか、より見る目が厳しくなる。
「見舞いの用などついでなのだろうに、あたかも逆の物言い………。いや、今更か。だが、貴方の期待するような内容は何一つない。見舞いに来たというのなら、早々に出て行ってもらうのが私にとっての最高の土産になる」
「安心してください。貴方の感性は私のとではまるっきり違いますので、お気を使わずとも。それさえ聞けば大人しく退出しますので」
互いに一進一退の攻防を繰り広げるも、一向に終わりは見えない。
文は椛が自分という厄介者と舌戦を繰り広げてまで、何故詳細を話したがらないのかを考えていた。
その時、視界の端に赤を捉える。
彼女が持つには不釣り合いな外套。大きさも、色も、暖かな雰囲気も。
何もかもが彼女に似合わなくて、何故今更になって気がつくのかと疑問に感じた程である。
「それは、なんですか?」
文が外套に指を指して問いを投げかけるも、一瞬身体を強ばらせただけで、それ以上は何もしない。
「だんまりですか。なら勝手に推理させてもらいます。―――まず、これは確実に貴方のものではない。サイズがまるで違いますし、何よりも一介の哨戒天狗の持ち物にしてはあまりにも上質な素材で出来ている。それに、私は専門外ですがこの外套には何かしらの力が内包してある。それこそ見る者が見れば、喉から手が出る程欲しいのではないでしょうか」
遠慮無く外套を手に取り、上下左右余すところ無く観察する。
職業柄色々な相手と関わってきた文からすれば、これは魔法使いや巫女が持つ道具と同じ感覚を持つものだと気付く
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