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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
曇り鏡
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―――それは、まさに圧巻であった。
眼前には機械で構成された、まるで街並みを思わせる規模の空間が広がっていた。
先程までただの木造の一軒家に案内されていた筈の私達は、床下にあった隠し扉から、ここまで数分掛けてようやく辿り着いた矢先の光景である。
空間全体を視野に入れた状態では、私達は豆粒程度の大きさにしか見られない。それ程までの規模の未来の遺産が、地下深くで静かに胎動していた。
精巧に組み立てられた機械郡は解析の魔術を使うまでもなく、それを手がけた者の技術力が途轍もなく高いことを示している。
みずほらしい一軒家の地下に眠っていたとは考えづらい世界により、自分の置かれている状況が非現実的なものだという認識を再度確認させられる。
幻想郷という非現実的な世界に慣れていた筈の早苗でさえも、目の前の光景は驚かざるを得ないものだった。
そして、それを造り上げたであろう張本人―――河城にとりは、それらに一切目もくれずに奥地にひっそりと点在している小部屋へと足を運ぶ。
もっと観察していたいという気持ちを振り切り、にとりの後に続く。
「ご、ごめんな。こんな場所ぐらいしか座れる場所がないんだ」
小部屋の中は、先程の感動を拭い去る粗雑な空間だった。
作業部屋なのだろう、レンチのような小道具類は辺りに散らばり、鉄や油の臭気で耐性のない者には耐え難いものとなっている。
事実、隣に佇む早苗も僅かながら顔を歪めている。
表情に出さないように頑張っているようだが、それも敵わないぐらいに、目の前の惨状は度し難いものだということを暗に示している。
「いや、此方がお願いしている立場である以上、贅沢は言わないさ。それに、今まで誰かをここに招いたことはまともにないのだろう?ならばまともな客間があるとは思っていなかったさ」
「う………今後は気をつけます」
責めているように聞こえたのか、しゅんと項垂れる。
今後、という部分に含みを感じつつも、早苗の方へと語りかける。
「しかし、君は別にここにいる必要はないのだぞ。案内は済んだのだ、無理をしてまでここに残る道理はあるまい」
彼女の目的はあくまで私の道案内という役目でここにいる。
厳しい言い方になるが、これ以上彼女がここに居たところで時間の無駄でしかない。
もしここで語られる内容が気になるのであれば、帰ってきてから私に訊けばいいだけの話。
嘘を吐かれるかもしれない、という思惑ならばそれもそれでいいだろう。完全に信用されるよりも、それぐらいの警戒心を持ってくれた方が逆に気楽だ。
「―――いえ、私もここに残ります」
助け船として持ちかけた提案も、本人が否定してしまえば無意味となる。
そうか、と彼女の判断に納得できないまま、
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