九校戦編〈上〉
九校戦二日目(1)×クラウド・ボール
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なら走らずに済むからなのか、プロテクターをつけてないがラケットを使用しない選手は逆にボールにぶつかって怪我をしないようなウェアで出る。両手両足剥き出しの、ヒラヒラした格好で出場する選手は会長しかいないと思った。
「それより一真君は昨日電話越しで聞こえたキーボード音は何だったの?」
「あれなら何でもありませんよ、それよりラケットは使用しないんですか?」
「うん、私はいつもこのスタイルよ」
いつもテニスウェアでやるのかと思ったが、まあ俺達が娯楽でやるとすれば魔法無しのテニスやバトミントンとかだからなのか。あまり気にしない方向で見ていたがデバイスは何を使う?と聞いたら小さなバックから取り出した拳銃形態の特化型デバイスだった。ショートタイプ、一部でシビリアンタイプと呼ばれるがハンドガンタイプの銃身部分が短いと思った。拳銃形態・小銃形態デバイスの銃身部分には照準補助装置が組み込まれている。魔法的な座標(対象物エイドスのイデア内における相対座標)を計測する為のアクティブレーダーがこの銃身の正体でもある。
「いつもは汎用型でしたよね?」
「普段はね。どうせ一種類しか使わないから」
長い銃身を持つデバイスは、照準補助を重視している。特化型の起動速度のみ、照準補助を求めるためにそれを必要しない魔法師はショートタイプが向いている。まあ俺の場合は照準補佐がなくとも当てられる自信があるから俺のはいらない。
「移動魔法ですか?それとも逆加速の方ですか?」
「正解。『ダブル・バウンド』よ」
会長はストレッチを続けながら、特にもったいぶる事なく俺の質問に答えた。
「一真君、ちょっと手を貸してくれない?」
「いいですよ、何をすればいいんです」
ぺたりと座り込んで大きく脚を広げた会長は、背中を軽い力を斜めに押す。ほとんど抵抗なく会長の胸は脚についたから、とても身体が柔らかいんだなと思った。
「運動ベクトルの倍速反転とは・・・・。一種ではリスクはないのですか?低発性ボールは、壁や床で運動エネルギーが失うと、相手コートまで戻らない可能性もありますが」
「んーんんん・・・・・っと、一応、他の加速系魔法も入れているけど、去年も使わなかったし」
普通に言っているが、相当な力量がないと出来ない事だ。ま、昨日もだけどあれだけの実力を見せたのだから当然と言えば当然。七草家の実力がどれぐらいかは既に知っているが、改めて再認識した俺だった。
「もう良いわ」
左右四回ずつ繰り返したところでそう言われた後に手を離した俺だった。腰を伸ばして両足を揃えた会長がこちらを見上げて手を差し出してきたので、俺は何も考えずに手を取り握る。そして立ち上がる会長だったが、手は柔らかな手ではあった。軽く引っ張ると会長は膝を揃えた
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