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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第13話 「来訪者」
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「えっ!?えーと・・・。」

それはもう汚れのない子供のような純粋な眼差しとボイスレコーダーを突然向けられた一夏はタジタジである。何となく自己紹介の時のシーンに似ている。ってことは今回もまた碌なことを言えないだろう。一夏はそういう男だ。

「まあ、なんというか、頑張ります?」

・・・予想通りというか、なんというか。期待を裏切らない奴だな、お前は。少しも成長していないことを褒めるというのは複雑なものだが。そして何故疑問系なのか。お前の心情だろうが。

「えー、もっと良いコメントちょうだいよ〜。俺に触れると火傷するぜ!とか。」

・・・あれ?確かこの人二年生だったよな?今、結構なジェネレーションギャップを感じたんだが気のせいか?今時、どんな気障野郎でもそんな台詞吐かないと思うんだが。

「まあ良いや。後で適当に捏造しておくから。じゃあ神裂くん、何かコメントちょうだい。」

おい新聞部、今聞き捨てならない台詞が聞こえたぞ。マスメディアに携わる人間が然も当たり前のように「捏造」って言葉を使うんじゃない。元々答える気がない質問が更に胡散臭くなったぞ。

「・・・特に言うことはない。そういうのは場慣れしているセシリアにパスする。」
「え、そう?じゃあ神裂くんの方も適当に書いておくとして・・・。セシリアちゃんコメントよろしく〜。」
「わたくし、こういうのはあまり好きではありませんが・・・。」

前置きとは裏腹に今まで以上に饒舌を惜しみなく披露するセシリア。なんか俺の方も変なことを書かれそうだが・・・、まあ生活に支障が出るわけでもないし、酷ければ抗議すればいいだろう。取り合ってくれるかは別として。

「一夏、俺はちょっと夜風に当たってくる。ここは暑苦しくてかなわん。」
「おう。」

俺はスッと立ち上がって歩き出す。俺の行動を見た周囲の女子生徒が次々と声をかけてくるが適当にあしらう。ええい、うるさい。とにかく今はこの空間をさっさと抜け出して静かな場所に行きたいのだ。
ドンッ。

「あら、ごめんなさい。大丈夫?」
「・・・いや、問題ない。こちらこそ失礼した。」

今のはちゃんと前を向いていなかった俺の落ち度なので素直に謝ることにする。リボンの色から相手が上級生であることは察していたが、敬語は使わない。俺が敬意を払うのは束さんと千冬さんの人外コンビだけだ。一応、千冬さんの折檻を避けるために山田先生にも敬語は使うが。

(この女、見覚えが・・・。)

俺は何とか群衆を掻き分け、食堂から抜け出した。一人の女子がそれを目で追うのを意識しながら。



夜の帳に包まれた広大な学園を、零はただ一人で歩く。時間もあって、周囲には誰もいない。心地よい夜風に吹かれながら、彼は目的も持たずに静かに散策を楽しんでいた
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