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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
河童の川流れ
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たのだろう。―――そう考えると、諏訪子への不審も少しは緩和してくる。
あの邪悪な雰囲気を早苗の前で見せていたならば、こうはいかない。
早苗への間者疑惑は完全に晴れたといってもいいだろう。

「では、明日お洗濯ものを干してからいきましょう。雨とか降っても、お二人に回収してもらいますし、離れていても問題ありません」

「………神である二人を顎で使うとは、意外としたたかなんだな」

「参拝客がいないときのお二人はただの暇人ですからね。働かざる者食うべからず、です。甘やかすといつまでもダラダラしてばかりで………ほんと、諏訪子様にも呆れたものです」

そうやって笑顔を向けてくる早苗の背後に、黒いオーラを幻視する。
その姿は、英霊エミヤの記録に残留した聖杯に侵された間桐桜を彷彿とさせた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日の正午。
私は早苗の案内の下妖怪の山を歩き回っていた。
半分遠足気分なのか、飲み物を用意したりして楽しそうにしていたのを私は知っている。
此方から頼んだ以上、彼女のやることに水を差すのは無粋と思って口にはしていないが、些か緊張味に欠ける。

「えーっと、案内役を仰せつかったのはいいのですが、実は私も天狗さんの領地の範囲に関して完全に理解している訳ではないんです。元々は自由な気質の妖怪が作る社会だからかわかりませんが、そもそも明確な線引きはないのではないかと」

「………それであんな態度を取られたというのは、解せないな」

早苗に聞こえない程度の呟きで愚痴をこぼす。
それが本当に彼女の言うとおりならば、あれは上司の指示というよりも、あの白狼天狗の暴走のせいという可能性が挙がってくる。
所謂威嚇行為だとしても、そんなやり方を取っていれば自然と領土範囲を広げてしまい、彼方側にも不利益が働いてしまう。やっていることは侵略行為に他ならないのだから、当然のことだが。
真偽は関係者に訊くのが一番だが、機密に触れそうな内容を話すとは思えないし、結局は此方が妥協するしかない。
だが、そんなことを続けていれば天狗社会崩壊も時間の問題だろうな。
そんな自分勝手がまかり通るのも、度が過ぎていない範囲に留まっているからに過ぎない。出る杭は打たれる、それは均衡を保つという意味合いで、最も適切な表現と言える。

「ですけど、河童さんなら教えてくれるかもしれません」

「河童?―――ああ、天狗ばかりに意識が向いていたが、彼らも同じ社会の住人だったな」

「ええ。天狗さんは規律を重んじている傾向が強いですけれど、河童さんはどちらかといえば中立のようです。あの中での社会的地位が低いからという理由もあるでしょうけど、恐らく一番の理由は人間を盟友と呼び親しみ、種族間によ
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