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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
河童の川流れ
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ような行動さえ取らなければ、これ以上の追撃はないと判断してもいいだろう。
だからこそ堂々として、自分にやましいことはないことを表現しなければならない。こそこそしていれば余計に怪しまれるだけ。
それに先の二人とて、いきなり大がかりな事件を引き起こすようなことはしないと踏んでいいだろう。
あの白狼天狗では邪魔者を始末する為の刺客としてはあまりにもお粗末だった。
力量を測り間違えただけかもしれないが、それよりも小手調べとしてけしかけたのだと考えた方がよりそれらしい。
だからこそ、これからもしばらくはちょっとしたいざこざに巻き込まれることになろうとも、長い目で見れば安全であると判断した。
それよりも下手に相手を刺激しないように過ごし、ついでに気付いていないフリもしておけばある程度の平穏は約束されていると言ってもいい。
だが、完全に楽観するのはマズイ。自然にいざという時の逃げ口を把握しておくことも大切だ。

「シロウさん、ご飯できましたよー」

遠くから聞こえる早苗の声に誘われ、立ち上がる。
そういえば、朝に早苗はいつでも頼っていいと言ってくれていたな。
ならば、その厚意に甘えるとしよう。




「案内―――ですか?」

食事を終えた後、片付けを手伝うという名目で早苗と接近し、話題を振る。

「ああ、君は幻想郷に来てしばらく経つのだろう?今日知らず天狗の領地に入ってしまい、お咎めを受けてしまってな。だが気をつけるにも目印のようなものは見あたらなかったし、そこで妖怪の山に住んで長い君から、そういったテリトリーやその他諸々の事情について学びたいと思ったんだ」

「お咎めって、大丈夫だったんですか?」

「―――まぁ、なんとかな」

正直に言うべきか迷ったが、敵対されているのかも確定していないのに、いらぬ不安を煽る真似はするべきではないと、結果曖昧な返事で濁らせることにした。

「わかりました。確かにシロウさんはまだ右も左もわからない状況ですしね、全力で事に当たらせていただきます」

「そう肩肘張らなくていい。お願いしているのは此方なのだから」

「いいえ、私は以前シロウさんに借りを作って、それを未だに返せていません。だから、折角頼られたんですし、頑張らない訳にはいきませんよ」

借り―――もしかして、屋根から落ちたときのアレか?
咄嗟のことだったので記憶から薄れていたが、どうやら彼女にとっては大きな問題だったらしい。

「ふむ、君がそれでいいというのなら、私は何も言うまい」

私の言葉ひとつで諦めるような安い信念ではないのは、目を見ればわかる。
律儀と言うべきか、早苗は最近の若者らしからぬ誠実さを持ち合わせている。
育った環境が良かっ
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