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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
現状を知り、今後を憂う
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例え博霊の巫女が強力な力を宿していようとも、奴には絶対に勝てんよ。絶対な」
「………なんとも、まぁ」
今こそ人間のみが例として出ているが、この様子では妖怪にさえも同じ感情を持ち合わせているのだろう。
調停者と聞けば聞こえはいいが、つまりは幻想郷に於いて絶対なる存在だと豪語しているようなもの。
幻想郷の調停とは、人間と妖怪が併存してこそ成り立つと慧音は言った。
だが私には幻想郷の維持がメインなのか、妖怪と人間の併存がメインなのか、いまいち判別できないでいる。
八雲紫にとっての幻想郷が何を指すのかは知らない。
人間と妖怪が併存することが至高と述べるのならば何も言うまい。色々と納得いかない部分もあるが、私の言葉ひとつで変わるような年季の軽さではないだろうしな。
だが彼女がもっと自分の理想に近い幻想郷の在り方を見出したことで、それまで築いてきた秩序を塵同然に捨てるような奴だったならば―――私は彼女と敵対することは間違いないだろう。
それはエミヤシロウにとっての悪に他ならない。
だったら、許せる筈がないのだ。
「―――シロウ?」
不安そうに此方を見つめる慧音。
知らず渋い表情をしていたのかもしれない。
何でもないと頭を振り、軌道修正を施す。
「ともかく、八雲紫の思惑はどうあれここが安全であるという信頼を得ている以上、結果を出しているのだろう?ならばその均衡を自ら崩すことはしないだろう。その点は信頼してもいいのではないか?」
「まぁ、そうなのだろうが………人徳、いや妖徳というべきか。ともかくそれが希薄なせいでどうも、な」
「気持ちはわからんでも無い。―――時間も時間だし、そろそろお暇させていただくとしよう。貴重な情報感謝する」
「いやいや、久しぶりに私の長話を聞いてくれる人がいたお陰で、此方こそ非常に充実した時間だった。また困ったことがあればいつでも訪ねてきてくれ。いや、そうでなくとも問題はないぞ」
「それは有り難い。いずれまた暇が出来たときにでもそうさせてもらう」
立ち上がり、慧音の見送りと共にその場を後にする。
守矢神社に到達する間、私は慧音の情報を参考に今後の立ち回り方を必死に計画した。
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