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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
現状を知り、今後を憂う
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になってもおかしくはない行動を取ってしまった愚か者。
悪意はなかったのだが、敵対行動を取ってしまったからには言い訳は無意味。そもそも、知らずとはいえ領地に進入してしまった時点で不幸は始まっていたのだろう。
彼女のような下っ端クラスの報告で上層部に大きな動きが見られるとは思えないが、もしそうなってしまえば………。
それに、少数規模による殲滅戦であれど、個である此方は圧倒的に不利。地の利も圧倒的に劣る。唯一同等なものがあるとすれば、互いに手札を知らないという点のみ。
だが、そんなもの気休めにもならない。相手側が物量で勝っている時点で、そんなものを警戒する余地はない。例えそれが弱点となり得る要素だとしても、その程度で有利不利は覆らない。
これは真面目に隠居生活を考えるべきか………?人の噂も七十五日と言うし、長期の間外界との交流を閉ざせば、自然と忘れ去られる筈。
幸いにも、飲まず食わずでも生きていける身。大人しく仙人の如く僻地で引きこもっているだけで何ら問題はないのだから簡単な話である。
………いっそ、先程話題に挙がっていた地下へ行くのもいいかもしれないな。
「―――とまぁ、大凡重要な部分は話したな。あぁそれと、ここ人間の里は、妖怪の賢者によって保護された区域で、人間の安全が保証されている唯一の場所となっている。だからもし困ったことになればここに来るといい」
話し疲れたのか、慧音は大きく深呼吸をしてお茶を啜る。
「妖怪の賢者?」
聞き慣れない単語に、思わず聞き返す。
「ああ、貴方は知らないのか。妖怪の賢者―――八雲紫。幻想郷の創始者にして、幻想郷最強の妖怪と言われている。表舞台に立つことは稀で、どこに居を立てているのかも不明。関わった者からの反応は総じて、胡散臭いの一言で片付けられるほどの不審者。異常なまでに頭も回り、彼女の従える式神も主の能力を吸収している為計り知れない強さを誇るようだ。………まぁ、これだけ聞いていれば、そんな奴に守護されているこの里がいかに安全かわかるだろう?」
「確かに、素直に捉えればそうなのだろうが………妖怪に護られているというのは大丈夫なのか?こういうことは言いたくないのだが、種族の違いによる確執とか、そういうのはないのか?」
「………八雲紫は調停者だ。あくまで幻想郷の安定を念頭に置き行動しているというのは間違いない。どんなに不振な行動を取ろうとも、決してその案件から逸脱することはない。その在り方は周囲に広く浸透し、誰もがそう信じている。少なくとも表面上に於いては、彼女の意思は絶対のものとして扱われている。―――だが、だからといって八雲紫が人間を愛しているのかと言えば、また別の話だろう。あくまで均衡を保つための要因として生かされている≠謔、なものだからな。
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