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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
他が為に生きる者達
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増大していく可能性は決して少なくはない。
自意識というものが欠落した社会の在り方に倣ってしまえば、誰かと分かり合うことは不可能になってしまう。
妖怪が先天的に人を襲う存在だとしても、それが妖怪という種族に当て嵌まる個人の思想に反映されるかは別。
生物である以上、喜怒哀楽は勿論、好き嫌いだってある筈。それらを一切無視して、一方的に悪と認識するのは、それこそ本当の悪行だ。

―――なんて格好付けてはいるが、そんな考え方をしないと弱者を救うなんて行為を続けることが出来なかったらから、自然とそう考えるようになったに過ぎない。
私自身の行動にも問題があったのは認めるが、それを差し引いても人間は善に該当するとは言い難い。
自己防衛の本能が働いているとはいえ、目的達成の為なら同じ釜の飯を食った間柄ですら平気で切り捨てる。
危機的状況に陥った時、人間はより本能に従順になる。そこには知的生命体は存在せず、在るのはただ生存を望む獣のみ。
そんな人間を対象として接してきたのだ、最早定番とも言えてしまう程の扱われ方をしたこともザラだ。
………だからこそ、心を護る為にもそのような考え方をする必要があった。
そうでなければ、壊れてしまうから。人間に絶望し、価値を見いだせなくなってしまうから。

「―――どうした?うかない顔をしているが。言いにくいことでも遠慮無く言ってくれればいい」

「いや、なんでもない。それよりも教えてくれるというのなら、是非直ぐにでもお願いしたいのだが」

心配そうに表情を伺う慧音。
相手側に弱みを見せないという意味で鍛えていたポーカーフェイスだったのだが、まだまだという事か。
それとも、単に気が緩んでいただけか。そうなる心当たりは充分あるが、口には出さない。

「そうだな、なら折角だし私の家に来ないか?立ち話で済ませられるほど短い話にはならないからな」

「ふむ、ならばお邪魔させてもらおうか」

慧音の誘いを受け、私達は慧音が住む家へと歩を進めた。

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