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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
他が為に生きる者達
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思わず私も笑みをこぼす。
これなら私と同じ過ちを犯すことはないだろう。それを理解したと同時に、私の中に残っている後悔の欠片が少しだけ取り除かれた気がした。
「それにしても、これだけ話し込んでいたにも関わらず互いに名前も知らないとは、なんだか笑えるな」
「それだけ波長が合ったということなのだろう。生理的に受け付けられない相手がいるように、その真逆も決して有り得ない話ではない。―――と言うことで、私はエミヤシロウという者だ」
「私は上白沢慧音だ。―――ところで何か悩みや困っていることはないか?先程の礼も兼ねて、協力は惜しまないつもりだ」
「いや、私は―――そうだな、ではお言葉に甘えさせてもらおう」
一瞬衛宮士郎の性が出そうになったが、なんとかこらえて話を切り出す。
私が外来人だということ、来て間もない為幻想郷の知識が皆無だということ、今は居候の身だが、いつかはきちんとした居を構えたいと思っていること。
ひとしきり話し終えた後、慧音は一考して答えた。
「それなら私にも力になれそうだが―――一部は私よりも適任がいる内容もある。手続き諸々で時間を食いたくないならば、私でも一応全て賄えるが、どうする?」
「時間が掛かるというのならば、遠慮しておこう。掛かる時間の程度にもよるが、無知でいる時間が惜しい。ああ、教えてくれるといってもさわり程度だけで頼む。どんな種族がいるのかとか、それだけでいい」
「いいのか?それでは殆ど教えていないようなものだぞ」
「出来るだけ人格が固定されそうな情報は控えたいんだ。………外では妖怪とは人間に害を為す存在という認識が絶対だった。仮にここでもその事実が正当だったとしても、それをその種族だから、という理由で否定したくはないんだ。せめてこの目で事実を確認し、そこで判断したいんだ。他人の風評に踊らされ、不必要に敵対する事だけは避けたいのだよ」
後ろ盾がない状況で、むやみやたらと敵を作る真似はしたくない。
意識とは既存のイメージに引っ張られる傾向が強い。
例えば、剣は切断する武器というイメージが常に先行する。そうであるように造られたのだ、それは当然の事実といえる。
しかし、レイピアのように刺突に特化した剣も存在するように、その法則は絶対ではない。
だが、あくまで剣は切る武器として生まれた以上、イメージの優先度としては下位に位置する。
少なくとも、初めて識った剣という概念の印象が、切る以外の扱われ方をしていたと言う者は稀だろう。
対人関係にしてもそうだ。
集団意識によって構成された印象は、正しいからこそ滲透していく。だが、それも絶対とはいえない。
初期段階はともかく、時が経つに連れ、大多数がそう認識しているから、という理由で意見が
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