第199話 金色の妖精と黒の妖精
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ん。」
ショールは閉じていた目をゆっくりと開けた。開けたショールの鮮血のように赤い瞳には、先程までなかった光が宿っていた。
ショ「俺には、守るべきものがありますから。それに、死んだら、エルザに怒られますからね。」
ショールはどこか悲しげで、寂しげで、小さくて、儚い笑みを隊員達に向けた。
それを見た隊員達は、それ以上反論する者はいなかった。
隊29「・・・分かりました。全部隊、直ちに撤退だァーーーっ!」
1人の隊員の声と共に、魔法部隊はゾンビと雪女と共にこの場を立ち去って行った。
隊30「ショール様、どうか・・・お気をつけて。」
ショ「ありがとうございます、皆さんも。」
最後の1人の背中が見えなくなるまで見届けた後、ショールは「はぁ」と小さなため息を漏らし後ろを振り返ると言葉を放った。
ショ「・・・もう出て来ても良いんじゃないか?バレてないと思ったら、大間違いだぜ?」
ショールの言い終わったのと同時に、ショールの目の前が黒に近い青色の光で包まれた。あまりの眩しさに、ショールは目を細め左腕で光を遮る。
光が治まり、腕を除けて前を見ると、目の前にいたのは灰色の体をした、鋭く尖った耳が特徴的な悪魔だった。
悪魔6「よく気づきましたね。」
口調的に、この悪魔は女だという事はすぐ分かった。
オー「私は“憎悪の悪魔”オーディオ。あなたは?」
ショ「妖精の尻尾の魔道士、ショール・ミリオンだ。」
悪魔とは思えない、“憎悪の悪魔”オーディオの優しい口調に少々驚きながらもショールも名乗る。
オー「人間、という生物は初めて見たけど・・・とても変わった生物なのね。」
突然語り出したオーディオの言葉にショールは耳を傾けた。
オー「人間1人につき、必ず1つ憎しみの感情が見えるわ。酷い人間は、10を超えていたわね。」
ショ「見える?憎しみの感情が?」
オー「私は“憎悪の悪魔”よ。相手の憎しみの感情を読み取る事が出来るのよ。もちろんあなたも・・・あら?」
ショールの憎しみの感情を読み取ろうとしたオーディオは首を傾げた。
ショ「残念だけど、今の俺には“憎しみ”という感情は一切ないんだ。今の俺には、ね。」
オー「つまり、以前はあった、という事よね?」
オーディオの問いに、嘘をつくのもつかれるのも嫌いなショールは正直に頷いた。
ショ「まぁ、人の感情とかはこっちに置いといて・・・」
そう言いながらショールは、固く握り締めた右手の拳に紅蓮の炎を、左手の拳に吹き荒れる風を纏った。
ショ「まずはお前を倒す、それが優先だ。」
オー
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