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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
疑問は尽きることなく
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くないのでな」

「あら、それはそれは」

こうなることも総て予想の範囲内だったのだろうと思うと、嫌悪感で吐き気がする。
掌で踊らされているという事実は、神としてではなく、いち生命体として不愉快にさせていた。

「用事もそれだけのようですし、そろそろ失礼致しますわ」

茶番は終わりだと暗に示すかのような、あっけない幕引き。
抵抗しようにも、それが事実である以上足掻くのはただの愚行となる。

「最後に訊かせろ。―――貴様は一体、何を視ている?お前の見出す世界には、何が待ち受けているというんだ」

一考して、一言。

「何も。幻想郷は全てを受け入れる、ただひとつの例外なく、取り残されたもの達を包み込む。最終的に纏めて吸収されてしまうならば、過程に起こる事象について語ったところで無意味ではなくて?」

それだけ言い残し、歪んだ境界線と共に姿を消した。

はぐらかされた感もあるが、確信できる情報もあった。
過程に起こる事象を語るのは無意味と言ったが、裏を返せば過程を飛ばして結果には行き着かない、故に過程が消えることはない、ということにも繋がる。
それはつまり、彼をここに引き寄せたのは、とある結果に到る為の過程―――その要素としての鍵となるからと解釈できる。
その結果こそ幻想郷の在り方に関係するのだろうが、そこは正直重要じゃない。
エミヤシロウの行き着いた経緯を訊いた後では、奴が何かに対して焦りを感じているのがわかる。

奴の神隠しは、あくまで外で不必要となったナニかが対象であって、奴はここに到るための架け橋の役割しか担っていない筈。
道が開けばそこに行くしかない―――それ程までに切羽詰まった存在しかここに来る資格はない。
パートナーと強い絆で結ばれていた彼は、決して幻想とはならない。
誰一人としてその存在を証明できる概念を保有しなくなってこそ、初めて曖昧な事象に変化する。
確かに私や諏訪子も、ただ一人を除いて存在を証明できる存在がいなくなってしまったという点では彼の状況と似ている気がしなくもないが、私達は奴の力を借りずにここに来た。よって小さな差違なれど、意味合いは大きく変化する。
彼の話では、奴に問答をされたらしいじゃないか。それも、ここに誘導させるような質疑を以て。
稀に外来人という、外の世界から連れてこられた人間もいるらしいが、どうやらその類の者達は、例外なく一切の説明もされぬままここに放り込まれたのだとか。

何故、そこまでして彼を幻想郷に到らせたのか。何故、彼だったのか。―――何故、私達の印象操作を行う為の舞台を用意したのか。
神社の屋根を破壊するように仕向けるという、一歩間違えれば最悪な印象を植え付ける要素で臨んだにも関わらず、彼は屋根を
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