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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
疑問は尽きることなく
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ってしまいそうだな。
さて、キリも良いのでとっとと仕事を終わらせてしまおうか。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


かつて騒がしさを繰り広げていた家を抜け、ひとり風を浴びる。
星が瞬く夜空は、排気ガスによって汚染された外の世界では見られない程の輝きを見せており、胸に去来するもどかしさを多少落ち着けてくれる。

「………いるんだろう、出てこいよ」

虚空に響くそれは、絶対遵守を是とする言霊が込められており、聞く者を例外なく服従させる力があった。
それに呼応するかのように、私の目の前に歪な空間の裂け目が形成される。
醜く口を開いていくそれから現れたのは、怪物でもなんでもなく、美麗な女性だった。
しかし、視界に収めれば誰もが彼女に同一の感想を抱くだろう。
―――コイツには関わるな、見た目の美しさなんかよりも、生物としての本能がそれを真っ先に告げる。それほどの異質が、目の前の存在には内包されていた。

「こんばんわ八坂神奈子、物騒な物腰で何用かしら?」

「とぼけるなよ、エミヤシロウのことだ」

呼ばれた理由も理解している癖に、コイツは不要な前置きを置きたがる。
それはからかいが絶対の割合を示す、ただの戯れ。ここまで神を相手に馬鹿をしようと思うのは、無知な妖精か、コイツぐらいのものだろう。

「あら、誰かしらそれは」

「………彼がここへ訪れた経緯を話してくれたが、お前が起こす神隠しとやらと同じ奇妙さがあった。いきなり空に放り出されるだなんて奇抜な手段、お前しかやらないだろう」

「酷いわね、そのエミヤシロウが嘘を吐いていないという保証はどこにもないのよ?」

「少なくとも、貴様に比べれば何万倍も信用に値するよ」

睨み合いが数十秒と続き、彼女の溜め息がその終わりを告げる。

「そうよ、彼を呼んだのは私の仕業。それで、それがどうかしたのかしら?」

「―――言うに事欠いてそれか。なら単刀直入に訊こう。何故エミヤシロウをここに落とした?」

「―――何故、とは?」

「文字通りだよ。ここには人間の里、紅魔館、白玉楼、永遠亭、地霊殿といった感じに、場所は多数ある。そんな多数の可能性の中から、何故ここを選んだのだ」

「さぁ、ただの気まぐれかもしれませんわよ」

「………お前が連れてきたのがただの一般人だったなら、そう結論づけただろうさ。しかし今回は違う。サーヴァントだなんて馬鹿げた存在を送り込み、貴様は一体何を企んでいる?」

その問いに、奴はただ憎たらしい笑顔を向けるばかり。
どうやら、答える気はないようだな。期待はしていなかったが。

「口を割らせるためなら武力行使も本来はやむなしだが、生憎と蚊帳の外の雰囲気を壊した
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