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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
乾坤の神
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もないし、素直に答えることにした。

「ああ、そうだ。ひとつの英雄像に憧れた男の末路、とでも認識してくれればいい」

「………じゃあ、お前は一体何を為したんだ?他者から英雄と呼ばれるに値する所業を」


沈黙が部屋一帯を支配する。
こればかりは、そう簡単に答えられるものではない。
果てに見たものが決して間違いではなかったと納得したとしても、それは誇れるほど大層な所業でもなければ、寧ろ普通の感性からすれば結局異常であることに代わりはないのだから。

「―――すまない。答えられないのならそれでいい。お前のその表情を見ていたら、気安く訊くべきことではなかったのは充分見て取れる」

「そうしてもらえると助かる」

厳かな雰囲気を纏っていた彼女だが、先の会話で多少萎縮したのか、居心地の良い空間になっていた。
他人の不幸で喜ぶなんて最低だが、こればかりはどうしようもない。
常に熱量を持たない向かい風に煽られているのは、誰だって不快だろうし、勘弁してもらいたい。

「あのー、お茶菓子を用意してきましたのですが」

ふと、襖から早苗の声が響く。
和風旅館の従業員がやるような姿勢で襖を開き、卓袱台に形の整った饅頭と湯飲みを置いていく。

「これは、君の手作りかね?」

「そうですけど、よくわかりましたね」

「素材が新鮮な状態を保っているからな。添加物入りの梱包商品とはまた違った特徴があるものなんだよ」

何気なしに説明したのだが、何故か早苗の目がキラキラ光っていた。
まるで尊敬の眼差しのようなそれは、一応神の前だというのに色褪せることはなかった。

「おやおや、すっかり彼を気に入った様子だね、早苗」

「神奈子様!?いえ、そんな―――」

「隠さなくてもいいじゃない。早苗も年頃だからね、そういう気持ちが出てきても不思議じゃないさ」

「う、う〜………」

楽しげに早苗をからかう神奈子からは、先程までの威圧が完全に消え去っていた。
どうやら神との上下関係は厳格なものではないらしい。
こうして見ていると、姉妹の戯れにさえ見えてくる。

「そういや、お前さんはどうしてここに?」

「ああ、それなんだが―――」

突如の話題変更に一瞬戸惑うも、直ぐにここに来た経緯を説明する。
聖杯戦争が終局して、消える筈だった自分が何者かの手によってここに飛ばされたこと。
マスターとの魔力供給を絶っている自分が何故か未だに現界していられる謎も含め、子細に語った。
途中参加の早苗も居たので、かなり曖昧な表現になってしまっていたが、どうやら通じたようで良かった。

「そういえば、訊くのをすっかり忘れていたのだが、ここは日本の何処なん
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