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無欠の刃
下忍編
誤解
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憑性がある。
 彼らがきれいに直していたら、自分には違和感しか抱かれないだろうから、だから、適当に、杜撰に。見た目はあまりきれいにならないように。きっと、サスケは怒るだろう。体に傷が残るのはよくないと、それは女だからではなく、傷跡が残れば残るほど、それだけ怪我してきたことでなめられる可能性もあることを気にしているのだと分かっている。
 九尾チャクラをもっと引き出せば、傷が残らない程度に治すことも出来るだろう。
 けれど、でも、それでもいいのだ。
 この体にひとつ、またひとつと傷が増えていき、目に見える気が増えていき、周りから舐められるようなことがあったとしても、ナルトを守れるためならばそれでいい。
 九尾のチャクラを引き出せる術式は、カトナ自身が作ったものではないので謎が多い。ナルト自身に影響がないのならば問題ない。が、この前はナルトの体の周りにも九尾のチャクラが取り巻いていた。それは自分に引きずられ過ぎたからだろう。引きだし過ぎてはいけない。
 必要でないならば使わなくてもよい。鼓膜は直しておきたいが、それも問題がなさそうなら直さなくていい。
 自分の体よりも、ナルトの体だ。自分なんてどうでもいい。ナルトさえ無事ならばそれでいい。
 それで、いい。
 きぃっ、とドアが軋んだ音がし、カトナの見ている前でドアが開かれ、よっ、と手を上にあげた彼が優雅に登場する。

「カトナ、平気か?」
「先生」

 驚きに目を見はったカトナが慌てて立ち上がり、平気だという意思を伝えようとした時、一瞬のうちに距離を詰められて、大太刀を叩きつけた腕をとられる。
 びくりと一瞬震え、カトナが恐る恐る様子を伺うようにカカシを見た時、カカシが笑いながら、カトナの耳を指さす。

 「カトナ、耳聞こえてんじゃないの?」

 口の動き。そして雰囲気でそれを読み取ったカトナが、視線を少しだけ下に向けて首を振る。
 その様子に呆れたようにカカシはため息をつき、勢いよくカトナの両肩を掴む。と同時に、膝をかがませてカトナと視線を合わせる。逃げ場を失ったことに気が付いたカトナの頭が、危険だと警鐘を鳴らすが、無理やり、瞳を合わせられる。
 カカシの瞳にカトナの瞳が映るが、なんとか、顔を逸らし、視線を逸らす。
 それこそが嘘をついている証だと何故気が付かないのか。カトナは嘘をついていないと証明するときは、まっすぐ目を見て話す。視線はそらさず、これは嘘ではないのだという事を告げる。そして逆に、嘘をついているときは過剰なまでに視線を逸らす。
 カトナなりの処世術なのだろう。そういう風に身に染みつけておくことで、相手に自分は嘘をついていないのだと信頼させるための処世術。信憑性を高くさせ、自分の身を守るためだけの術。
 もしものとき…たとえば、ナルトに危険が及んでいる
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