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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
運命の紅
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人生は、人間らしさを奪うには丁度良い環境だった。
この辺りも改善していかないとマズイな。

「もし何もせずに出て行けと望むのであればそれに従うが、どうかね?」

「そ、それは困ります!」

「だろうな。と言うわけだから、早速作業に移らせてもらう」

言質も取ったことだし、さっさと済ませよう。
それにしても、返しの言動が異常に覇気が籠もっていた気がするが、不審者に頼らないといけないほど貧乏だったりするのだろうか。

「………何故ついてくる?」

屋根へと向かう途中、早苗はぴったりひっつくようについてきた。

「それは、私にも何かお手伝いできることがあればと思いまして………」

そこは、逃げられることを恐れて監視している、ではないだろうか。
いや、下手な発言は私を怒らせかねないから、嘘を吐いてでも近くにいることを選択したのだろう。
度量が深いのは認めるが、些か無警戒が過ぎるきらいがある。
私が指摘するのも変な話だし、口には出さないが、少し心配になった。

「しかし、大工仕事というのは素人が気安く触れて良いものではない。ちょっとしたことで怪我はするし、高いところから落ちれば怪我ではすまないぞ」

「で、ですが」

「………なら釘やハンマーなどの道具があるなら、それを探してきて欲しい。安心しろ………というのもアレだが、別に逃げたりするつもりはないから、お願いしたい」

「………わかりました」

多少渋ったものの、どうにか了承してくれた。
後ずさるようにして私の姿を視界に収めつつ、一定の距離まで離れると振り返って走っていった。
その様子を見送り、屋根上へと跳躍する。
屋根の骨子、材質を解析し、材料を作っていく。
予想通り、ここはどうにもかなり年季の入った建物だった。
これを文字通り限りなく元に戻そうとするならば、壊れる前の神社を個として認識し、一気に投影する必要がある。
そんなことすれば出来上がる前に魔力が足りなくなるだろうし、投影では完全再現は不可能である以上、価値は落ちてしまう。
溜め息が思わず漏れる。こうなると別の方法で弁償するしかない訳で、それがどんな無理難題となるかと考えるとやってられない。

ガタン、と音がした先を見ると、早苗が木の梯子を使い屋根へ昇ってきた。
手には長方形の鉄箱が握られており、それが工具箱だとすぐに理解する。

「さっきの場所にいなかったもので、いなくなったと思っちゃいました」

「それはすまない。少しでも早く作業に取り掛かりたかったもので、気が急いてしまった」

工具箱を受け取り、必要な道具を分けていく。

「あの、これって………」

視線の先にあったのは、先程投影した材料
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