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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
運命の紅
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悪いきなり追われる立場にもなりかねん。
視界を覆う煙が徐々に晴れていく。
目の前には誰かが怯えた仕草で立ちつくしているのが確認できた。
身体の線を見る限り女性だろう。余計に申し訳ない気分になる。
この惨状を生み出したのは私だが、原因は別にある。だとしても、それを証明する手段はないので、結局は私のせいという扱いとなるだろう。
「………やれやれ。運が悪いな、君も、私も」
同情するようにそう呟く。
どちらも被害者である以上、そう言わずにはいられない。
そうしている内に、完全に視界が晴れた先から現れたのは、凜と同い年ぐらいの少女だった。
髪色は緑色で腰に届くほどのロングヘアーが目立つ。服装は巫女服を個性的にアレンジした感じで、遊び心を感じる。
「え、あの、その………」
困惑した様子で接触を図ってくる。
独り善がりの行動はこれまでにして、その場から立ち上がり冷静な対応で答える。
「すまない。故意ではないとはいえ、この場を荒らしてしまったことを謝罪する。責任を持って直すから、それで勘弁してもらえないだろうか?」
「え、はい。そうしてもらえればありがたいですが………それよりも、貴方は一体」
「私はエミヤシロウと言う。訳あって上空から叩き落とされた身でな、不幸にも落下先がここだったという次第だ」
「私は東風谷早苗と申します。それと大丈夫なんですか?その、怪我とかは」
「心遣い痛み入る。だが、私は無駄に丈夫なのでな。問題はない」
「そう、ですか。でも何か異常が出た場合はすぐに申してください。救急道具は取りそろえていますし、寝室もありますので」
彼女が何者かは知らないが、高いところから落ちて傷ひとつない様子を見られでもしたら、面倒な事態になりかねん。
押しつけがましいのもアレだと思ったのか、少女は意外にあっさりと引いてくれた。
………しかし、どうにも居心地が悪い。
彼女からすれば、私はこの惨状を作り出した張本人と映っている筈なのに、どうにも献身的すぎる気がする。
それこそいの一番に逃げ出されても不思議ではないこの状況下で、彼女は多少の動揺こそあれどしっかりと私を見据えている。
年齢不相応に肝が据わっている少女に違和感を感じつつも、本題へと移る。
「早速だが、屋根の修理とここの掃除をしたいのだが」
「は、はぁ………」
少女はどこかむずかゆそうに表情を動かす。
流石に堂々とし過ぎたか。
常人ならばこの一連の過程を踏み、ここまで冷静でいられる訳がない。
逆に言えば、冷静である私は明らかに常軌を逸している訳で。
むう、一般人とのコミュニケーションは久しぶりだから、感覚が上手く掴めない。
異常と共に在る
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